西多摩殺人事件

鷹山トシキ

第1話 2022年8月1日

 安藤卓也あんどうたくやは千葉県警の刑事だ。1ヶ月前まで神崎こうざき署って所轄署にいたが、頑張りが認められて県警に栄転になった。

 昨夜、神崎署時代の同僚だった鈴江誠一すずえせいいちからLINEが送られてきた。

『久々に会って話したい』

 彼は今、東京都にある昭島ってところに住んでいる。昭島は東京都心より約35キロメートル西の多摩川の左岸に位置しており、市北部には玉川上水が流れている。また、市の南を流れる多摩川に向かって市域が全体的に北西から南東へ向かって緩やかに傾斜している。

 安藤は有給を3日使い、鈴江と遊ぶことにした。

 午前11時、昭島駅前で待ち合わせている。


「市の東西を貫くJR青梅線の線路を境として、北部では団地、工業地、ゴルフ場、国営昭和記念公園の敷地などが大きな面積を占める。それに対し南部では主として住宅地の占める割合が大きい。だけど、最南部である多摩川の河岸付近地域には団地や学校が比較的多く存在しているんだ」

「刑事辞めて観光庁で働いたら?」

 蝉の声が騒がしい。

「おまえに面白いものを見せてやるよ」

 安藤は鈴江に連れられて市役所にやって来た。

 市庁舎1階ロビーには巨大な骨が飾られてあった。

「なんじゃこりゃー」

「おまえはジーパン刑事か?」

 アキシマクジラの骨らしい。

「1961年にJR八高線の多摩川鉄橋下流30m程度の河原からクジラの化石が発見されたんです」

 白い髭を生やした老人が突然話をして来た。

「あの、あなたは?」

「学芸員をしています」

 彼は神尾洋かみおひろしと言うらしい。

「このクジラの名前は?」

 安藤は興味津々だ。

「アキシマクジラ」

 神尾は髭をいじっている。

「化石って言うからかなり昔だろうな?1万年前くらいですか?」と、鈴江。

「100万年以上前です」

「驚きのあまりに腰が抜けちゃうよ」

 鈴江のオーバーリアクションに安藤は呆れた。

 

 安藤たちがワイワイ騒いでる頃、凄惨な事件が起ころうとしていた。青梅に住む柿谷雅人かきたにまさとという印刷業者の社長は、愛人の長澤真世ながさわまよって愛人と昭島市に遊びにやって来た。真世と些細な事でケンカして、真世は青梅に帰ってしまった。

「女ってのはマジで勝手だな?」

 柿谷は拝島大師ってところにやって来た。

 本尊の元三慈恵大師像は良源が自らの姿を刻んだものとされ、本来は比叡山横川の地に祀られていたと言われる。寺伝によれば、元亀2年(1571年)織田信長の比叡山焼き討ちの際に、敬諶大僧都が大師像を持ち出した。敬諶は諸国放浪の末、1578年(天正6年)この地に大師像を安置し本覚院を創建したと伝えられている。

 正月2日3日の縁日は「だるま市」として有名であり、初詣とあわせて多くの参拝者で賑わう。

 人通りはコロナのせいか少なかった。

 ガサガサ……林の中で物音がした。

 イタチでもいるのか?と、柿谷は思った。

 次の瞬間、黒いマントをかぶった闖入者が柿谷に襲いかかった。闖入者は斧を振り上げた。

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