第10話「2500時間プレイ」
第10話 2500時間プレイ
◆
「ただHPが上がってるだけならいいんだがな」
レイシャも構える
「どういう事?」
マリーがブロードの言葉を補足する、マリーは絵を描く体制に入る、どうやら変わった魔法演唱を得意とするタイプのようだ。
「特別な条件の上での戦闘、ましてやメインクエストです、おそらく無理ゲー化しているのでしょう」
ダリウスも細剣を抜く
「しかし不可能なゲームではない」
ミュウも力を溜めて構える
「ここまで来たんだ、絶対に勝って見せるさ!」
うっぴーもなんと剣を持ち身構えた
「私も闘いマーっす!」
咲も身構える
「行くよ! 勝って先に進むんだ! 最終決戦のつもりで行くよ!」
戦闘スタート! 合計9人は各々の役割をすることに全力を尽くす。咲は魔法剣士。まだ魔法らしい魔法は唱えていないし使用したこともないが前衛と後衛両方出来るオールラウンダー型。
ただし前衛でも中途半端な立ち回りになり、後衛でも中途半端な立ち回りになりやすく、器用貧乏に陥りやすい。主に魔法防御の盾となって味方を護る役割をもつ。
リスクはファイター。相手に接近して攻撃を繰り出す戦闘型。鍛え抜かれた拳は既に武器を帯びているに等しい。
肉体の動きを阻む格好を嫌い軽装を好む彼は、一見すると無防備にも見えるが、その素早い身のこなしで打撃を重ね、確実に敵を追い込んでいき、舞うように戦う。
HPは低く、防御力の低い防具しか装備できないため、なるべく敵の攻撃を受けない立ち回りを心がける。スズはサムライ。
前衛で防衛しつつ敵を自分に引きつける。全力をだせば高い火力と防御力を発揮するサムライだが、特技のMP消費が高いことと技が発動した後の隙が大きく生じる。
のだがスズの場合軽装備で戦闘に参加しているためかなり身軽なスピード重視の戦闘方法を取っている。カウンター技や居合を得意とする。
ブロードはナイト。片手剣と盾を装備し防御力の高い金属製の鎧も装備しているため、多数の敵の攻撃にも耐えられる頑丈さを備えている。
集団戦においては切込み隊長として真っ先に攻めかかると同時に、敵をひきつけ見方を守る文字通りの「盾」となる。レイシャはヒーラー。安定した回復力でパーティを護る癒し手。
通常の回復魔法に加え、継続的にHPを回復する魔法や防御魔法、状態異常回復魔法。そうした多彩な回復手段を使い分けることで、戦場の変化にも対応しやすく、安定感がある。
強力な攻撃用魔法、光魔法も扱える。マリーは召喚士。モンスターを召喚して戦う系統を持っている、ただマリーの場合は特殊で絵に描いたものを実体化させる。
演唱時間は絵を描く時間、最初に速描きの魔法を唱えてから速描きをするのが基本。敵から離れて絵を描き強力なモンスターを召喚させダメージを継続的に与えられる職業。
アレキサンダーは槍使いファイターでありながら射程が長い。狩猟用の槍から発展した「両手槍」を主武器としている。
槍を操るのは決して簡単ではないが、しかし、ひとたびそれを振るえば吹き荒れる嵐のごとく次々と戦技を繰り出す事が出来るだろう。
ミュウは魔導士遠距離からの攻撃系に特化した魔導士、あらゆる攻撃魔法を駆使し、戦闘を行う。逆に回復は苦手。
ミュウは多種多様な魔法を使うがより速く多種多様な魔法を使うため一発一発が弱い、遠距離からガトリングガンのように短い魔法演唱をし、攻撃を流れるように連続で行う。
そして最後にうっぴーは剣で敵を叩くスタイル対するイフリートは力を溜めている、前衛である咲、リスク、スズ、ブロード、アレキサンダーは勢いよく走り出す。
「うおおおお」と言う掛け声の中突進していき。
「フレア!!」
次の瞬間ドゴン!っとあたりは炎による大爆発を引き起こした、前衛も後衛も巻き込む全体攻撃は全てを燃やし尽くし生者を生かさない浄化の炎と化した。初見殺し、一番最初に見る人を有無を言わさず殺すそれは圧倒的なほど人の心を折に来る。初見殺しとは初めてその場を訪れたものを叩き潰す数々の仕掛けである。初見を殺すこと。また、それを初めて経験する人はほぼ必ず引っかかること。
主にゲームで使用され、正攻法が通用しない、敵が予想外の攻撃を加えてくるなどの理由で予備知識がない状態で対峙するとほぼ確実に死ぬというようなもののことを指す。
かなりのインパクトがあるのだが、一般にはある種の「出オチ」であり、二回目以降や相手の構造さえ分かってしまえば寧ろ他の場合より楽勝という場合が多い。
そんなこんなでVSイフリート戦は最初のイフリートの攻撃フレアの名のもとに咲達はわけもわからず、自分達がどうして負けたのかもわからず、敗北した。
始まりの街ルミネには教会がある、というか基本的に街には教会がありもしゲーム内で死んだらここで甦る事が出来る。死んだら教会で甦り、復活の際に料金はかからない、持っている道具も無くならないし、何かがあって記憶の喪失と言うのもあり得ない。もちろんデスゲームと言うわけではないのでゲーム内で死んだら現実世界で死ぬと言う事もあり得ない。
ただしメインクエストを受ける場合死ぬ可能性が極端に上がるのだ、サブクエストではそう極端に死ぬ可能性はない。
よほど操作が下手か、運動神経が鈍いか、バカなのかボケなのかわからないがそういう致命的なミスをしなければ死んで教会に戻るなんてことはほとんどない。だが、一度も死を経験せずに遊ぶと言う事こそまず考えられない、なのでこの死は通過儀礼という言葉がふさわしいだろう。ゲーム上、一切のリスクはない教会蘇生システムだが失うものは何もないというわけではない。現実の本人の気力、体力、やる気、精神力、なにより時間が減る。なのでイフリート戦に行った咲達を見ていた運営姫は教会に咲がやって来るのを待っていた。
「よう、お久しぶり」
「お姉ちゃん…」
8人と一匹は教会の魔法陣が床に書かれている床の上で力尽きるようにだれていた、何が何やらわからず放心状態と言った感じだった、疲れ切っていた。
「ぐえへっへっへ疲れ切った妹を襲うのもこれまた良い…」
「アホめ…」
グサリと天上院姫の心を抉った咲
「それはそうと調子はどうじゃ?どの辺まで行った?」
咲は疲れ切ってやる気をなくした8人と一匹を見渡してから言う
「イフリートの所までは行った、でもそのあと何をされたのかもわからずやられちゃった」
「フレアじゃな、炎の全体攻撃と見せかけて実は視覚では見えないイフリートの背中が攻撃の届かない唯一の回避方法だったり」
「こら! そんなわかりずらい所に安全圏を作るな!」
「それかうっぴーが話しかけるとメインクエストに入りイフリートが強化されるが普通に戦うと火属性の防具とか落とすじゃろ、あれには火属性の耐性が10%ついてるからそれを完全装備で挑めばかなりの攻撃を半減できるはずじゃ…これくらいなら咲が普通に考えても辿りつくじゃろう」
「そりゃ聞いたらわかるけど…」
聞いたらすぐ答えがわかる万能攻略サイトと化している姉
「私の戦い見てたの?」
「いや見てない、負ける要素しか思いつかなかったからな、見るほどでもないと思って教会で待ってた」
「ひど……! てかお姉ちゃんって一体何時間プレイしてゲームクリアしたの?」
「ん…? 2500時間だった、でもお前と遊ぶことを見越してレベルはリセットした」
「すご! え!? 今レベルいくつ!?」
「レベル1」
茫然とする咲、2500時間プレイしてクリアできるゲームを作った事にも驚きだがそもそも2500時間がどれぐらい凄いのか凄すぎて感覚がわからないほど凄い。
一昔のRPGなら普通24時間ゲームをプレイしたらラスボスを倒してゲームクリアまでは行ける、といったらその長さ、凄さがわかってもらえるだろうか。
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