第17話 日本との交渉1
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■ 日本との交渉1
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▼ 首相官邸
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「これは一体どう言うつもりなんだ?」
はぁ、言ってる通り自国民を殺されたことへの報復でしょうね。そして国際世論を的に回さないように配慮した報復ってことでしょう。
「うちの娘より若く見えたぞ、まだ高校生ぐらいではないのか?」
王政の国では普通、直系の子息が継ぎますから子供でも女王になるのは珍しくないのでは、日本でも昔はそうでしたしね。大方宰相あたりが采配を握っていると思いますよ。
そろそろ指定の13時です。明華人民国がどう動くかは見ものですね。まあ、撤退はしないと思いますが……
官房長官の三井秀一は部下にTVを点けるように指示をする。
こちらは東シナ海上空です。
アルスタン王国、女王の発言、によるとここで神の審判がはじまるということですがさて、明華人民国は撤退したのでしょうか?
あっ、兵士らしき人影が建物からゾクゾクと出てきました。どうするのでしょうか?
あーーっ、出てきた人々は順番に海に飛び込んでいます。どう言うことなのでしょうか?海に入った兵士たちは波間に揺られています、あっ、沈んだようです……
あっ、また沈みました。次々と沈んでいきます。
信じられません、何ということでしょうか?まるでレミングの死の行進を思わせる光景です。これが神の審判なのでしょうか?
明華人民国の公船と思われる船がまだ浮いている兵士を救助している模様です。
うわーーーっ……船が沈みました。まるで海の底から何者かに引きずり込まれるかのように一気に沈んでいきました。
あっ、近くにいた明華の公船が現場海域を離れていきます。
船が沈んだのも神の審判なんでしょうか?
”プチ”
TVの電源が切られた。
「あれはどう言うことなんだ?、みんなも見ただろう。わかるやつはいないのか?」
<か、神の審判なのでは……>
国務省事務次官が言いにくそうながらつぶやいた。
「そんな馬鹿なことがあってたまるか?、神はアルスタン王国の言うことを聞くとでも?」
<あのう、魔法ではないでしょうか?>
「そんなもんあるわけないだろう。」
回りの参加者もそうだ、そうだ、と言わんばかりに呆れた表情でこちらを見るのでつい下を向いてしまった。
しかしなぁ、魔法に当てはめてしまえば全てしっくり来るんだよなぁ。
精神感応魔法、空間魔法、そして恐らく重力魔法
あぁ、ラノベの読み過ぎでそんな発想をしてしまうのかな……もし、魔法が有るなら俺も使いたい……
国務省の事務次官、神大歩は隠れラノベファンだった、しかしその知識は後に立って役に立つことになる。
「まあ、いい、考えても答えは出ないだろう。ところで明日の交渉に行く大使は決まったのか、外務省どうなっている?」
<はい、大和田良二くんを大使として任命いたしました。恐らく交渉現場での判断も必要と思いますので特命大使として派遣したいと思っていますが如何でしょう。>
「その大和田とやらは有能なのか?」
まだ、若手ですが華族の血筋で家柄もよく交渉能力も高いので彼が適任だ思っております。
後、公安から1名と通訳として先日、確保した現地人1名、護衛の警察官が1名、それと米国側から2名が付いてきます。
「大丈夫なんだな?まあ良いだろう。」
官房長官の三井秀一は頭を抱え込んだ……
大丈夫だろうか?血筋で外交が出来るのかと……ここで口を出せば外務省と揉めることになる、今国内で揉めている時ではない。
交渉の経験もあるようだ優秀と言うからには大丈夫だろう。
<あのういいでしょうか?>
「えぇ……国務省の神大渉くんだったかな?」
<はい、これまでの経緯を見る限り、相手国は容赦ないと思われます、今回の交渉ではうちが勝手に領空侵犯したのは事実ですので下手に出てるとして何かお見上げをもたせたほうが良いのではないでしょうか?>
《土産?、何を言ってるんだね。これだから外交の素人は困るよ。》
《領空侵犯?、まだ、国家とも認められいない蛮族の土地に国際法は通用しない、それにここで下手に出ればああいった手合はつけあがって何でもかんでも要求してくるのはお隣さんと一緒だ。あんなお隣を国務省は増やせっていうのか?》
外務省としては外交ベタとか色んな陰口を叩かれているのはわかっているのでこのへんで挽回したいと思っていた。ちょうどそのタイミングでチャンスが回ってきたのだ、ここでさすが外務省だと信用を回復するためには華族の血筋で恫喝にも強い大和田が選ばれた経緯があった。
確かに外交官の殆どは他国の大統領、首相クラスから恫喝されるとビビってしまい何も言えなくなりなし崩し的に言いようにされがちだったが大和田に関してはそのものたちとは違い図太さも兼ね備えてはいた。
<はぁ、そういうわけではありませんが、もしかしたら魔法も使えるかも知れない国を相手にするのですからここは穏便に言ったほうが良いかと思うのですが?>
《まだ、そんなこと言っとるのかね君、国務省はよっぽど暇なんだね。》
…………
公安部の伊倉です。
拘束している国籍不明船について報告したいと思いますが、よろしいでしょうか?
「あぁ、その件か、気になってたんだ、報告を頼むよ。」
確保している船舶は帆で進む木造船で国籍はイルマニア王国だそうです。友好国であるアルスタン王国へ貿易の為、商品を運んでいる途中に方向を見失ったようです。
日本語を喋る者がいましたのなんとか聞き出すことが出来ましたが、何分、文化水準が違うので意味不明な点ございますのでその辺は今後の調査で突き詰めたいと思います。
積荷は主に魔石とい言うもので外見はいろいろな色をした半透明なビー玉を思い浮かべて頂ければそう大差はないと思います。
魔石の他には動物の毛皮や牙、後は食品類です。
この押収した魔石ですが、宝飾品かと思っていたらどうやら有る種の燃料になるみたいでこれを加工して燃料とすることでアルスタン王国では発電を行っているそうです。
技術提携によりイルマニア王国でも近々魔石を使った発電所が建設される予定ということで、どうやらこの魔石とやらは加工次第で色々なエネルギーを取り出せるらしくしかも石炭のようにもうやして煙も出ずにクリーナエネルギーとして利用されているみたいです。
これを知った工業界も是非、研究したいと言うので各大手企業の研究所へ提供しようとなっています。
<ちょっと待ってください。>
ラノベで異世界に詳しい神大の感は激しく危機を告げていた。
<押収と言いましたけど、どう言う根拠で押収したのですか?>
《該当船は無国籍船籍でしたので国際法上は接続海域では我が国の権限を行使することが可能で法的にも合法です。》
<しかし相手はイルマニア王国の船ですよ。>
《何をいいます。この地球上にイルマニア王国なんて存在しません、確認の取れない国籍は国際法上無国籍と同一にあつかわれます。》
<そ、総理、まずいですよ。>
<絶対まずいです。イルマニア王国はアルスタン王国の友好国です。絶対文句を言ってきますよ。>
「もう渡したのか?」
《えぇ、取り敢えずは1社あたり数個で合計20数個と積み荷の数からするとほんの僅かです。》
「取り敢えず、これ以上は渡しては駄目だ、残りはP3-Cの乗員が帰ってきてから相談だ。」
<公安のえっとぉ……あっ、伊倉さんでしたね。
あのう、まさかとは思いますが取り調べに拷問なんてしてませんよね。>
《はははっ、何を仰る。人のなりそこないに人権なんて有るわけがないですよ、彼らはジュネーブ協定も適用されませんし、動物愛護法の適用外です。
ご安心下さい、拷問と言うほどのことはしていません、ちょっと痛い目には会ってもらったぐらいです。》
<そ、そうですか……>
あぁ、日本は下手すると終わったかも知れない。
この場の危機を感じているのは国務省の事務次官、神大渉だけだった。
後のものは威圧的に出るのと国と認めてやるという飴を与えれやればいいなりにななると思っていた。
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▼ 捕虜返還交渉
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捕虜返還交渉となるアルスタン王国の出島、フルブ島では24時間体制のフルピッチで出入関管理局、小型船用の桟橋、ヘリポートが作られた。
出入関管理局の局長にはヴィリアが兼務することになった。
本部から護衛艦から小型ボートが2台降ろされてこちらに向かってきているとの報告が入る。
「さ、お仕事開始よ!、ロミアーナ行きましょう。」
二人は管理局から大使を出迎えるために桟橋へと向かった。
桟橋に小型ボートが着岸し6人ほどの人間が降りてきた。
「おねーちゃん!、助けてーぇ」
うがっ、ウゴッ、……ドサッ
ロミアーナはマミアーナの声を聞き終わらないうちに押さえていた公安の職員を倒しマミアーナの身柄を確保した。
【ぎゃーーっ】
マミアーナを取られたのをみて警官が銃を抜いたとたん肘から先がポトリと落ちた。
警官は腕を抑えて苦悶の表情をしている。
ヴィリアの風魔法で警官の腕を落としたのだ。
『なにを、大使の一行になんて振る舞いを……』
「だまりなさい!」
威圧を込めた怒声に大使も固まってしまう。
「あなた達はなんてことをしたんですか?、一国の王女をまるでペットのように腰紐でつなぐとは無礼千万、アルスタン王国として許しがたいことです。」
「ヴィリア、ヴィリアって
ロミなに?、立ち込み中よ。!」
『うん、マリアーナは船ごと捕まったって、他のみんなが酷い目に会ってると……』
「な、な~んですってぇ~」
ヴィリアの怒りに体から魔力が漏れ出てヴィリアを中心に風が渦巻く
それまで、顔色一つ変えずに見ていた米国の人間も流石に驚いたらしくて辺りを見回しながら青ざめている。
「2時間以内に押収したもの及び乗組員を連れてきなさい。間に合わなければ日本国に対して宣戦を布告します。
まずは、東シナ海であなた達も見た神の審判が九州地方全域に下るでしょう。
さぁ、早く帰って連れてきなさい。もう、2時間切りましたよ。」
大使は衛星電話を取り出して泣きわめくように話しているが、何と言ってるかよく聞き取れないぐらい混乱しているようだ。
「帰るのはあなた一人です。他のものは帰しません。
さぁ、行きなさい。」
〈あのう、我々は彼らと無関係と言いますか、便乗組なんですけど……〉
「あぁ、そうですか、まあ、容姿も違うようですし、わかりました。お帰りになって結構です。」
それを聞いた一人の米国人はホッとしたような顔をして同僚を見た。
その同僚は口を開いた。
あのう、出来ればお話などを聞きたいので残りたいのですが……
「外国人は本土への入国は禁止ですよ。」
〈えぇ……ここで結構です。
それと本国に残る旨、連絡を取りたいので電話を使ってもいいですか?〉
「……ふうっ、まあ、良いでしょう。誰か適当なものを呼びますので暫くここでお待ち下さい。電話はここにはありませんのでご自分のでした自由に使って構いませんよ。
それと合うかどうかはわかりませんが、充電のための設備も中にありますので必要であればご利用下さい。」
〈ジョシュア!!帰っていいと言われたのになんで帰らないんですかぁ。殺されませんか、今見たばかりじゃないですか、あの女、顔色変えずに腕落としましたよ。〉
〈いやいや、彼女は身内を侮辱されて激怒していただけだ、文化は違うがけして誰彼構わなく殺すような野蛮じゃない、まあ、みてろ。これから面白いものが見れるはずだ。〉
《はぁ、お前の好奇心はいつか身を滅ぼすぞ!!》
〈今入った連絡だが明華の人民評議会最高書記長、公安部部長、国家安全局の局長の3名が死んだ。3人共、外傷もないのに心臓がなくなっていたそうだ。〉
《そ、それってまさか?》
〈あぁ、確証はないが間違いなくここの仕業だろう、どうやってそんなのが出来るか不思議なことばかりだがなにかヒントでも見つかれば御の字さ!!〉
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