第15話 接触と混迷



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 ■ 接触と混迷

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 ▼ その頃、首相官邸では

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 会議は紛糾していた。

 その一つに明華人民国の漁船100隻以上とそれを守るよに明華国の巡視艇、そしてその後方10マイルには空母を中心に巡洋艦が4隻、駆逐艦やミサイル艇が進んできていた。

 

 大至急、上陸して専有を発表しなければ……

 バカな、そんな事したら明華と戦争になるぞ!

 

 「幕僚長、海上自衛隊はあとどれくらいかかるみたいだ。」

 『しばしお待ち下さい。』

 幕僚長の浅川 光征はタブレットを持った側近から耳打ちされるの聞いている。

 

 2時間以内です、3時間以内では向かっている護衛艦の全て着きます。

 

 「明華の漁船は後どれくらい掛かりそうだ?」

 『現在の船側ですとおよそ8時間後です。アメリカの第7艦隊がおよそ2時間でつきます。』

 

 まるで蜜に群がるありだな、まあ、人のことは言えんが……

 

 総理、大変です!P3-Cが大陸上空で大陸側の迎撃機によって拿捕されました。

 上空で挟まれて強制着陸させられた模様です。

 

 なに?

 そこにいた全員が驚愕の表情で入ってきた防衛庁の事務次官を見る。

 

 『そ、総理、まずいですよ、海上自衛隊の上陸を中止させなと下手すれば戦争です。』

 「すぐに上陸を中止!、相手国の領海の外で待機させろ」

 わかりました。担当者が走る

 

 「クッ、万が一の場合も考えて刺激してはまずいと戦闘機を飛ばさなかったのが裏目に出たか?、戦闘機なら逃げ切れた可能性もある」

 『総理、相手はP3-Cだったからこそいきなり迎撃することなく強制着陸した可能性があります、相手の国はどうだかわかりませんが、相手国の上空を飛んでたんです、撃ち落とされて文句は言えません。』

 

 「まず、外務省からは特使を立てて派遣せねばならんな、P3-Cと乗員を帰してもらわなければならん。」

 

 《はぁ、それで言葉は通じるのでしょうか?》

 「多分、通じんだろうな?」

 

 《それで、どお、交渉しろと?》

 「それを何とかするのが外務省だろう。」

 バカな言葉も通じないのにどうやって交渉をしろと?言葉が通じても相手の文化は政治形態すら分からないのに交渉以前の問題だ。

 はぁ、総理の無茶振りも今始まったわけでもないが……はぁ、どうしたものか。

 

 『総理、巡視船から連絡が入りました。千葉県沖20マイルの接続水域で不審船、恐らく現れた大陸かその関係者と思われる船を臨検の上、拿捕しました。

 船員11名のうち何と1名は日本語を話せるそうです。』

 

 「おーーーっ!!」

 皆から歓声が上がった。

 

 「これで交渉もなんとかなりそうだな。」

 〈えぇ、とにかく、話せる者だけでもヘリで至急連れてくるようにして下さい。〉

 

 「三井くん手配したまえ。」

 官房長官に指示を飛ばす総理は心なしか安堵の表情が見えていた。

 

 その頃、千葉上空、1500フィート

 アルスタンの偵察機は優雅に千葉上空を飛んでいた。

 「どういうことだ?イスマニアがいつの間にこんなに発展したんだ、高い建物がいっぱいだ、すごい文明が発展してるのかもしれんな。

 取り敢えず、見るものは見たし帰投するか?」

 

 アルスタンの偵察機は格好がオートジャイロとほぼ一緒だったため民間機と間違われて騒ぎにはならなかった。

 

 

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 ▼ アルスタン王国では

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 直人の執務室では嫁達の他に陸、海、空、三軍の総司令官が詰めていた。

 執務室の隣の部屋では各担当者が無線でやり取りをしていた。

 

 報告します。ブルーホークから情報です、灰色の大型機が240ノットで接近中あと5分で領海に入ります。プロペラが4つ付いていて灰色で赤の丸が書いてあるとのことです。

 

 陛下!

 「…………」

 まさか、自衛隊か?、そんなバカな、異世界に自衛隊が迷い込んできたとでも言うのか?、プロペラ機で大型ならP3-Cだろう。海上自衛隊か……

 

 『陛下どうされました?』

 「あっ、すまん、取り敢えず撃墜はするな、攻撃機を上げて強制着陸させろ、王都の飛行場で大丈夫だろう。」

 わかりました、すぐに攻撃機をあげます。

 

 「それより先に上げた偵察機はどうなっている?」

 はい、先程、一報が入りイスマニアを確認したそうです。ただ、高い建物がいっぱい立ってるとか訳のわからないことを言うのでもっと詳しく調査するように伝えました。

 

  「わかった。」

 高い建物……まさかビルって事はないよな。うーん、まだ情報が少なすぎる。

 《陛下大丈夫ですか?、私に出来ることがありましたら何でもやります。》

 

 ありがとう、ヴィリア、恐らくお前には後で大役をやってもらうことになるかもしれん今のうちにゆっくりと休んでおけ。

 《はい、何でも遠慮なくお申し付け下さいね。》

 

 報告します。大変です。東側、グリズリア帝国との国境ですが、国境からブッツリときれて断崖の向こうは海です。

 

 「なんと……」

 本当なのですか?

 

 <はい、夜明けとともに通常の3倍のブルーホークをとばしております。知らせを受けて竜騎士が確認しておりますので間違いありません、同様に南部の方もハーピーの連絡によりますと同様な状態のようです。>

 

 「ヴィリア、心配するな、まだ、国がなくなったと決まったわけではない。」

 《はい、大丈夫です。あの国には何の未練もございません、ただ、残してきた母が心配で……》

 

 「すまん、この騒ぎで忘れてた、ヴィリアの母は俺が呼び寄せて於いた、昨日、夜分に付いたので東の離宮で休まれているぞ、今日、話そうと思ってたんだが、すまん。

 行ってくると良い。」

 

 《ありがとうございます。後ほど会いに行きます、今私はこの国の国務に携わる身、ここで様子を見ます。》

 

 「お前の仕事はまだ、後になる今は休んでおけ。」

 《はい、ありがとうございます。》

 旦那さまったらもう、私をびっくりさせるおつもりだったのね、もう、そんなところは子供みたいなんだから……でも、嬉しい。旦那様の妻になれて本当に良かった。

 でも、あの、皇帝がよく母を手放したものだわ、いくら飽きたとは言っても手放したりはしないはずなのに……

 ほんと、旦那様に感謝しなくっちゃ。

 

 陛下、国籍不明機を強制着陸させました。首を落としますか?

 「いや、殺すな!、今は取り敢えず丁重にもてなしておけ。」

 <ははっ、言葉が通じないので厄介ですがなんとかします。>

 

 <報告します。大型の軍艦と思われる艦船が複数、西側24マイルのところで停泊している模様です。>

 ますます、ここは地球の可能性が出てきたな。恐らく接続水域で停泊して様子を見ているのだろう。

 

 「わかった。西側の沿岸には歩いて渡れる島があったなぁ」

 <はい、5年前まで一部の漁師が住んでおりましたが、本土の港の発展とともに移住してきて今は無人島です。>

 

 「よし、そこを接収して交渉の場所を作ろう、そこで諸外国との交渉を行う。すぐに取りかかれ、賃金ははずんで良いから24時間交代で工事をさせるんだ、取り敢えず最初の施設は2日で形だけでも仕上げさせろ」

 <はっ、仰せのとおりに……>

 

 どうやらこれまでの情報だと向こうた転移してきたと言うよりはこっちが転移した可能性が高いが、人が転移ならまだわかるが、国ごと転移なんてするのか?

 女神が関わっていないはずはないはずだ。後でお仕置きだな。

 

 取り敢えず隠蔽で姿を隠して様子を見てくるか!

 

 「ちょっと外を見てくるよ。心配はない隠蔽でこっそり見てくるだけだから」

 あなた、お気をつけて下さいね。

 陛下、ご無理をなさらないように

 「あぁ、大丈夫だ、すぐに帰ってくるよ。」

 

 そう言い残すと隠蔽で姿を隠して窓から飛び上がった。

 高速で5分も飛べばすぐに沿岸だ

 そろそろ速度を落とすか。海上に出たら速度を落として飛んでいるとすぐに発見できた。

 おーっ、いるいる。

 自衛隊の護衛艦が3隻とアメリカの第7艦隊が居座っている。

 うーん、このままずっと居座られていても迷惑だなぁ……

 仕方ない魔法で声だけでも伝えるか。

 

 日本語で伝えるのは癪だから英語で伝えるか、いや、全言語理解はほんとチートで助かるよ。

 

 「我はこの地、アルスタン王国の国王である。

 この世界のルールに従って領海、接続水域、経済水域を主張する、意義は認めない。無断で入れば後悔することになるであろう。

 

 我が国は当面、どことも交流を持つつもりはないが、話を聞く用意はある。

 日本国に告げる、領海侵犯したその国の軍用機を拿捕している、乗組員を帰してほしければ2日後、そこから右側に見える島へ来るが良い、来なければ乗組員は不要と見て処分する。

 なお、島には大型艦は着岸できない。また、軍用艦の寄港も認めない。

 以上だ。速やかに解散しろ。」

 

 一方的に通告した後、自分に結界を張った後、高度30000フィートまで上昇した。

 上空から見た景色は地球そのものだった。ただ、以前と異なるのは太平洋のど真ん中にアルスタン王国が居座っている。

 これって海流なんかに大きく影響が出そうだな、気象も関係してくるだろう。

 はぁ、俺、知らねぇ~っと。

 はぁ、つかれた。帰ろう。

 

 作戦室に戻ると連絡官が待ち構えていた。

 「今度は何だ?」

 <はっ、西方50マイルのところに小型船100隻以上、軍用艦26隻が航行中です恐らくこちらに向かっているものかと。>

 

 「ん、ご苦労!」

 

 やれやれ、今度は明華みんかか……疲れるなぁ……

 さっきと同じ対応で良いだろう。

 

 「陛下、もしかしてお知り合いですか?」

 いや、知り合いってわけじゃないがどうやら俺が転移してきた、元の国にアルスタン王国ごと転移したみたいだ。

 

 《えーーつ、そうなんですかぁ?》

 皆が一斉に驚く……そりゃ驚くよな。

 

 『陛下でしたら、話をすればうまくまとまるのでは?』

 「メルクリート、そんな単純な話ではないんだ、俺はこの世界ではただのガキだったし、それでなくても俺の居た国、日本だが、事、国策となるとそんな甘いもんではない。」

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