第11話 直人現人神になる


=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

 ■ 直人現人神になってしまう。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

 


 ▼ 直人の居た、地球の日本の実家 ▼

  

 はぁ~、直人が失踪してからもうすぐで1週間になるわ、本当にどこに行ったのかしら真司くんやクラスメイトは直人は突然消えたって言うけど、そんなの信じられるわけがないし、だからといって二人が誘拐したなんて考えられないのよねぇ。

 

 母親の香織は直人の事が気がかりで日々ろくに睡眠を取ることが出来なくなっていた。見かねた妹の維那が心療内科へと連れて行き処方された睡眠導入剤を服用して寝る日々が続いていた。

 

 ナオちゃんどこにいるの。ねぇ……帰ってきて……

 母、香織は直人の帰りを願いながら床に付いた。

 

 『あれ、ここはどこかしら?、私ったらどうしたの?』

 香織は気づくとパジャマのままで白い空間にきていた。

 

 「落ち着きなさい。私はある世界を管理する神でエリステレアと申します。そなたにはご子息、直人殿のことでここ神界に来ていただきました。」

 

 『えっ、直人?、ナオちゃんがここにいるの?、どこ?、会わせて頂戴。』

 女神に諭されると不思議と心がすっと型にはまったように落ち着いた。

 

 心してお聞きなさい。あなたのご子息である直人殿は将来、私の後を継ぎ神となるために私が召し上げました。

 心配は要りません、死んだ訳ではありませんよ、今は修行の為にこことは別の世界でちゃんとお嫁さん候補の3人と元気に暮らしています。

 

 修行とは言っても今はこちらで普通の営みをして人としての格を上げるための修行ですから普通に暮らすだけです。後、数百年したら神界に上がって神となります。

 

 『ナオちゃんが神様になるの?』

 「はい、そうです。 ご母堂さまに於いては身を切られる思いかとおもいますが、これも人の世を続けていくために必要なことでも有るのです。

 そしてナオト殿はこの世界の人々が神に昇神するために必要な【仁・義・礼・信】を持ちあ合わせた稀な少年だったのですよ。」

 

 「そうそう、ナオト殿から ご母堂様にわたすように頼まれたものがありますからそこを少し開けて下さい。」

 

 香織が場所を開けるとそこには大量の金の延べ棒と手紙があった。

 『えーーっ、他の世界で暮らしてるって……神になる?、お嫁さんもいる?』

 

 香織は何がなんだか理解できずに頭はオーバーヒート仕掛けたがそこは直人の母親だ、冷静になるのは早い。直人の達観しているのは母親譲りなのだ。

 

 『これって金なの?こんなに沢山どうしたのかしら?』

 「これは直人殿が自分がいなくなって今後、経済的に困窮しないようにと託されたものです。」

 「神である私が届けたものですよ、何の心配もいりません。直人殿が本人で稼がれた報酬などを私がこの世界で換金しやすいように金に変えたものです。なお、この金には私の特別な祝福をかけてありますので、換金しても出どころを疑われたり困った結果にはなりませんので安心してご利用下さい。」

 

 香織は手紙を読んでいた。

 突然ですが僕はこことは違う世界に来ています、剣と魔法が有る世界で男爵をしています。まあ、その辺の事情は女神様が話してくれるので省略します。

 母さんが心配だったので女神様に伝言を頼みました。

 ・・・中略・・・

 僕のことは心配いりません。どういう訳か嫁候補が3人もいたりします。

 僕は元気にやっていますので母さんも健康に気をつけて下さい。

 PS:維那の事を頼みます。

 

 『うっ、ナオちゃ~ん……』

 香織がふと顔を見上げると自室のベッドの上だった。

 ベッドの下の床には金が山積みになっているその傍らには宝石が結構な量転がっていた。それを見るとやはり夢ではなかったらしい。

 直人からの手紙もしっかりと手に握られていた。

 

 ダダダダダーーーっ!!!

 慌ただしく階段を降りてくる音が聞こえる。恐らく維那だろうと香織は思った。

 《母さん、母さん、今、変な夢見た~よ!って、何その金塊!!、うわっ、宝石も!!》

 

 維那はノックもせずに香織の部屋を開けると金塊の量に思わずのけぞっている。

 <か、母さんもしかして?>

 うん、女神様と会ったわ。ナオちゃんは別の国にで神になる修行をしてるって……

 これはナオちゃんからのプレゼントだそう。

 

 どれくらい有るの?

 そうねぇ、パット見て20個以上はありそうね。一つ10kとして訳、5000万円。20個だとうーん、100億かしら……

 宝石は母さんではわからないわ。

 

 『<ひぇーーっ!!>』

 

 二人はそれから朝方まで直人のこと、金塊のことなどを朝方まで話し合った。

 もちろん二人は寝坊して遅刻してしまったのはご愛嬌だ。

 

 場所は変わってアルスタン王国

 ♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪

 ▼ 直人の部屋

 ♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪

 

 『ナオト様、大事なお話と聞いてきましたがどんなお話ですか?』

 

 「うん、今から話すことはここだけの話として聞いてほしい。守れない人は今すぐこの場を立ち去ってほしいんだ。」

 『私は死ぬまでナオトの言葉を守ります。』

 <《私もです。》>

 アリエルの即答に二人も続いて同意してくれた。まあ、そうだとは思っていたけど、一応形式的に聞いただけだ。

 

 俺は討伐が完了したらすぐに帰るはずだったことは伏せて、もう元の世界に帰れない事、女神の都合で数百年後には神として神界に上がることを離した。

 

 <ナオト様はいずれ神になられるんですねぇ~すごいです。そんなすごい方の妻になれるなんて幸せです。>

 『うん、うん、私もメルクリート様と同意見です。メイドの私が神の妻になれるなんて……』

  メルクリートもアリエルも動じることなく喜んでいる。ある意味ぶれない二人だ。

  

 《ナオト!!、私も同じよ、でもこれで納得行ったわ。今の直人は亜神って事で間違いないの?》

 

 「そうだな、女神、エリステレサに言われたけど簡単に言えば亜神でも間違いないが正確には現人神となる。人の形を持つがその実態は神なのだそうだ。

 管理神の候補なので獣神よりは高位の存在らしいな。」

 

 《……うん、今度こそ納得行ったわ、獣神が戦わずして負けを認めるはずね、いっそナオトが国王になったら……ナオトがその気ならすぐにでもこの世界は統一出来るわよ。》

 一つ大事なことを言ってないな。今から話すことに納得できないものは俺と結婚するのは諦めてほしい。

 

 『《(えーーーーっ!!!)》』

 皆が驚きの目で見ながらハモった。

 

 つまり、俺の伴侶になると色んな作業が有るわけだ、特に夜にはお勤めがあるだろう……俺も男だし子孫繁栄のためには仕方ない作業の訳だ。

 

 『《<うん、うん>》』

 

 「それを続けていると伴侶もつまりお前たちも俺と同様に歳を取らないで現状のままだ、数百年経って俺が神界に上がると普通に歳を取って寿命を迎える。」

 

 『えっ、それって、私達とナオトの別れの日が来るまで私達は若いままって事よね。

 や~ん!、魔物って言われそうだけど。エルフなんかだと普通のそれくらいの寿命だから別にいいわ。無論、私は大賛成!!』

 

 <問題なし!!>、《むしろ歓迎よ!!》

 

 《ナオト!!、現人神の件は陛下と宰相には離しておいたほうが良いと思う、二人はナオトが亜神だと思ってるし隠すより離したほうがメリットは大きいわ。》

 

 《獣神の件があってナオトからはまだ、口止めされていなかったから私は宮廷魔道士としてナオトが亜神の可能性がかなり高いと話したの。

 本当は迷ったんだけど、獣神に勝てる時点で人間とは思われないから下手すると悪魔と思われる面倒だと思ったのが理由かな。勝手に話してごめんね!!》

 

 「気にしなくていいよ、俺は気にしてないから……

 ジェシカも俺のことを考えてくれてるから話したんだろうし、むしろ俺がお礼を言わないとね。

 わかった。じゃ、その件はジェシカから陛下に話しておいてくれ。それと態度は今まで通りで頼むと、それが出来ないなら他の国に出ていくと」

 俺が自分より立場が上なんて俺からは陛下も聞きたくないだろうしね。

 

 <えぇーーっ、ナオト~そうなったら私はどうなるの~>

 「バカ、ただの脅しだよ。ちょとお茶目なネ!! まあ、最悪そうなったとしたらちゃんと連れて行くから心配するな。」

 <えへへへっ、ハーーーィ>

 

 《では、私は失礼して陛下の耳に入れてくるわね。》

 そう言って席を立ち退室して行った。

 

 「さて、この国に人の身として生涯を送ると決まった以上、俺はこの国を発展させたいと思う。手加減はしない、皆も手伝ってほしい。」

 『はい、国のためになるのなら何でも頑張るわ』

 <大したことは出来ないと思うけど、私も手伝うよ。>

 

 メルクリートは王女だし次期女王だからある程度の融通は効くだろう、アリエルには雑用全般を頼むことになるかな……

 「ありがとう頼りにしているよ。」

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る