第7話 叙爵は突然に
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■ 叙爵は突然に……
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▼ 叙爵は突然に…… ▼
翌朝、俺は謁見の間に何故かひざまずいている。どうやら叙爵されるらしい。
なんでこうなった?
迷惑この上ない……たとえ叙爵されようとも俺は元の世界に返されるのだから
▼ 昨日のこと…… ▼
メルクリート王女とアリエルから突然、陛下から叙爵されるという話を聞いた。
そんな物貰っても腹が膨れるわけでもないし魔神を倒したら自動的に元の世界に返される俺がもらっても何の意味もない。
何度も断るが彼女らも国王から言われてるだろうから簡単には引き下がらない。”陛下の命令です、言うこと聞かないと”【不敬罪】でって言わない辺りが俺に気を使ってるのだろう。
その辺を考慮すると彼女たちが可愛そうになってきたし、アリエルなんか討伐記念と思えばいいじゃないかとまで言うので仕方なく受けることにした。
どうやら勇者が討伐に行くのに平民より貴族のほうが都合が良いらしい。まっ、俺には納得は出来ないけど理解できない訳ではない。貴族とはややこしそうだ……
ただ、ホッとしたのは急な叙爵と俺がこの国の儀礼を知らないために色々と簡略した叙任式になるが我慢してくれって言われたときには覆わずガッツポーズしそうになった。
そんな訳で今回は簡略した佩剣の義のみ、行われるらしい。
そんな事をしているうちに叙任式が始まる。
陛下の祝辞が述べられるがすぐに終わった本来なら30分は竹パッチを履かされた状態で微動だにすることも許されずに聞かねばならない。
『ナオト・シドウにカルバントの名を与える。』
『ナオト・シドウ・カルバントよ、国あるいは異教徒の暴虐に逆らい神に奉仕するすべての者の守護者となれ』
国王はそう言うと剣を手渡してきた。
ひと目見て思わず”ちっさ!!”っと叫びそうになった。まあ、こっちが勝手に想像してただけなんだけど、兵士が持ってる剣が渡されるものと勝手に想像していた。実際に渡されたのは小さな探検だった。
どう見ても儀式用の短剣で鞘と柄には宝石が散りばめられている、話によるとこれが貴族の証になるらしい、無論、貴族証なるIDもどきのものも別にあるそうだ。
「我、ナオト・シドウ・アルバントは陛下とアルスタン王国に忠誠を誓い、我が剣は神に奉仕するすべての者の守護者となります。」
そう、言い終わると俺は拝領した剣を鞘から抜き胸の位置で立ててから鞘に収めた。
それを都合、3度繰り返す。
『この国に新たなる男爵が誕生した。皆のもの祝おう!。アルスタン王国に栄光あれ!』
つつがなく叙任式は終了した。
この後、出納の方に出向くとお小遣いがもらえるらしいので忘れずに行くことにする。
帰ろうかとタイミングを計ってると国王から声がかかった。
『この国に関する重大な告示をする。なに、皆のもの案ずるな。慶事である!!』
『ここにおる第一王女、メルクリートとナオト男爵の婚約を認める、不服の有るものは手をあげよ、不服のないものは口を噤め!』
あちゃーっ、やっぱりきたか……アリエルが言っていた通りだ……しかしここで手を上げるのは陛下を侮辱することになるのでやめたほうが良いらしい、男爵の爵位なら後でうまいこと婚約破棄に持っていくこともそう難しいことではないらしい。
そう簡単でないことは後で知った。
まっ、俺にとっちゃ、どうせ討伐が終わればもとの世界に戻されるから問題ないだろう。かと言って手を出すのは非常にまずい、次期王女がお手つきになってしまうと問題だからそれさえ気をつけて於けばなんとかなるだろう。
立つ鳥後を濁しまくりでは流石に寝覚めが悪いのでそれだけはしないつもりだ。多分~……
『皆の中には勇者の爵位が男爵なのが気にかかるものがいるだろうが案ずることはない、勇者が魔神を討伐した暁には叙爵の予定だ。正式な発表は後日行う、今日は内々で告示しただけだ。』
参加している貴族たちの中には違う意味で気にかかっていた。
勇者が男爵だから王女との婚姻が爵位的に合わないってことではなく単に勇者の爵位がポンポンと上がっていくことに不満を持つ貴族は多くいた。
しかし何と言っても相手は勇者だ、文句を言えば国王の方針に歯向かうことになる、なにより勇者を敵に回すことを考えると口に出せるものはいなかった。
ふーん、内々の告知ねぇ……つまり討伐に失敗したらこの縁談はご破算って言いたいのがよくわかるわ、まっ、国王なんて言うのは皆、たぬきや狐でないと務まらないだろうからな。そんな事を考えていると。
『勇者よ!、内々だが婚約とあいなったが、床入りは結婚の儀が済むまでは控えよ。』
「ははぁーーっ、しっかりとこの胸に刻み込んで置きます。」
『うむっ、……』
余計なオマケも付いてしまったがまあ、いいさ。どうせ討伐がなった途端に俺は元の世界に戻されるのだから何らかの事故でも起こったと思ってくれるだろうさ。
婚約しようがどうしようが関係ないね。まあ、立つ鳥後を濁すのが気にならないわけではないけど、この国の災厄を解消したんだからそれくらいは大目に見てもらおう。
望むことなく男爵に叙爵されてしまったが、まあ、これもだいじょうぶだろう、今までと変わりなくやっていけそうだ。
本来なら叙爵されたらパーティーを開くのが貴族として慣例と言うか常識らしいが今回は魔神が討伐されてからと言うことになった。
婚約に関しても同様に処理された。無論こっちとしても都合がいいので文句はないのだが……文句はないのだが……
なんだかなぁってところはある。つまり魔神討伐が全てで失敗すれば何もなしって事は鼻先に人参をぶら下げられいるようでちょっと気分が悪いんだなぁ……
俺にとっては人参は不要なものだからなおさらだな。
でも、アリエルのお胸はちょっといや、かなり……よだれが出そうだ。
ふぅ、俺ってこんなキャラだったっけ?
叙任式が終わり部屋に戻ってアリエルやメルクリート王女と寛いでいるとジェシカがやってきた。
珍しいことが有るもんだなと思っていると。
『あなた、私になにか言うことが有るでしょう。私の心は無限に続くと言われているアルスタン海よりも広いから今なら聞いて上げてもよろしくてよ。』
「…………」
メルクリートは顔を青くしながらわなわなと震えだしている。アリエルは余裕だ、今にも笑い出しそうにしているのが対象的だったりする。
『さぁ、どうしたの? 土下座してもいいのよ♪、それとも足でも舐める♪』
<ちょっ、ちょっとぉ!!、ジェシカ何言ってるの?……そんなぁ……>
メルクリートは更に顔を青ざめさせて行く、アリエルはクックックッと鳴き出した。
更に煽ってやっても良かったんだけど、あまり揉めるのも何だしこういった女は意外に嫌いじゃない……あはっ!!むしろ好きだったりする。
まあ、面倒な時もあるけどね。
「ジェシカちゃんだっけ?、そんなに怒んないでよ。悪かったって……
反省してるんだよ……元々スッポンポンにするつもりはなかったんだ、信じてほしいなぁ。加減ができなくてさぁ……
でも、ジェシカの裸は綺麗だったからさ、足舐めはむしろご褒美だから土下座ぐらいするよ。」
『バカッ!!、しなくていいわよ。もう、あんたにはプライドはないの?、もう~信じられない!プンプン!』
本当は私から謝るつもりだったのに~……だけど、だけど……ついやっちゃった。
言ってしまってから剣を抜かれるかと思ったわ。
私って駄目ねぇ……プライドばかりが高い女……だんだん嫌な女になっていくのが自分でもわかる、ひどい女よね。
でもなに?、足を舐めるのがご褒美ですって!! 変態なの?
女に土下座!!ありえないでしょ、普通なら剣を抜いてもおかしくはないところ。
それに綺麗……嘘でしょ。馬鹿にしてるの?
「プライド?、綺麗な女の子の前では何の役にも経たないさ、犬にでも食わせればいい。」
『ばかにしてるの?、こんな貧相な体……くびれもなければ胸も平らよ。そんなのが言い訳?フン!!、バカにしないでょ!!』
「バカになんてしてないさ、俺は目はいいからね、一瞬でもしっかり見たけど、しっかりと腰にくびれはあったし胸だって俺の手平ですっぽり被されれるぐらいは有ると見た。
それに肌はとても白いし素直に綺麗だと思ったよ。
胸の大きさを言うなら関係ないとおもう。無論、大きい胸もいいし、小さい胸もいいよ。俺はどっちも好きだよ。キュッってやったら気持ちよさそう。あは!!」
『……ほ、本当にそう思ってるの?』
「あぁ、もちろん、これは女神に誓ってもいいよ。」
後で知ったことだが、この世界で女神に誓うというのは元の世界で言うのとは比較にならないのだが……破れば本当に天罰が落ちるのだと知った……
恐ろしすぎる...うかつに女神には誓えない……
『ホントにほんとうなのね♪ 嬉しい……勇者様、私も責任取って下さいね。』
「あぁ……わかった。見せてもらったし、また、見せてもらえるだろうからな」
《メルクリート様、ナオトってもしかしたらとんでもないジゴロなんじゃないでしょうか?》
<そうね、奥手かと思っておりましたのにあのジェシカをこの短時間で手懐けてしまうのですもの……>
《メルクリート様これは問題ではありませんか? このままでは止めどもなく妻が増えていくことになりかねませんよ。》
<そう、そうですわ。このままでは私達がかまってもらえる時間が少なくなりますね、魔神の討伐が終わったら少し躾なければなりませんね。>
二人は同盟を組み今後、側室や妾が増えないように影から表からと手を尽くしていくことになるがすぐにこの同盟にジェシカが加わることになるのであった。
俺がジェシカと話してる時にアリエルとメルクリート王女は俺に聞こえないと思って小声でとんでもない事を話している。そう、元の世界に居た時には聞き取れなかったであろう小さな物音も俺が聞き取ろうと思えば感度を上げることが出来るようになっている。
『えっ、えぇーーーっ……』
でも、責任を取ってもらうって。一緒になるってそういうことなのよね。い、嫌じゃなきけど恥ずかしい……あぁぁ、どうしよう。でも、頑張る
ジェシカは顔を赤らめながらもまんざらではない様子だ。
『……はい、あたり前のことなんですよね。で、でも、今すぐはちょっと無理かも、少し待って下さい。』
ジェシカは行水を浴びたような汗が背中を滴っている感触さえ気にならないほど緊張していた。
「あぁ~、俺は焦るつもりもないしジェシカがそんな気持ちになるのを待つよ、それもジェシカとなら楽しみに思えるしね。まぁ、取り敢えずは目の前の魔神の討伐を先に済まさないといけないね。」
ジェシカはもじもじとしながらこちらを見ているので呼ぶことにした。
「ねぇ、こっち来て座りなよ。ほら、僕のよこへ……このケーキはとっても美味しいよ。」
『……うん!!!……』
<《あぁ……ジェシカだけずる~い!》>
ふたりはハモって文句をブイブイという。
「こら、こら、ちゃんと同じ物だしてるでしょ。」
《ち・が・う・ジェシカだけナオトの横に座ってる。》
アリエルが文句を言ってるうちに素早く余っているもう一方の俺の横に移動してきた。
『あっ! 姫様までずるーーぃ!!』
なんだかんだと文句も言いながら時は過ぎていく……
うん、平和だ……こんな日常が続くならこっちの世界もありだなぁ……
異世界での生活に馴染んでいく直人だった。
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