14

 水気のある空気を、日光が輝せる。

 

 4つ打ちのバスドラムと、シンセの周波数の共音<ともね>に、水溜りが踊っている。


 それなのに、目出し帽の奴らときたら、なんとノリの悪いことか。全く動かないんだ。


 まぁ仕方ないか。


 「よーし、決まったな」

 

 この固形物(スピーカー内蔵)は、生物固有の電気信号とネットワークを繋いで、和音合成した周波数を体内で発生させる、それで体内の水分やら細胞を揺らして、対象を気絶させる。

 

 一見遠回りに感じるが、身体にも精神にも負荷が少ない平和的な武器なんだ。


 「全く、こいつらどこからのお客さんなんだ?」


 おれは、そう言って、気絶した奴等の目出し帽を脱がした。

 すると、なんともロシアな顔付きじゃないか。


 「そうなるよなぁ…」


 俺は一瞬で、この状況を受け入れたよ。

 

 (長居は無用だ、早いとこ向かおう)


 水捌けの悪い、資材置き場を足速に後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

片脚の探偵〜Wizard of One leg〜刻まれた三日月の境涯 満梛 平太老 @churyuho

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ