不時着
僕の飛行機が落ちたのは二度目だ。一度目はカラハリ砂漠である。
其処でミーアキャットの一家を見かけた。
「あれはミーアキャットだ」
親友のマイクが電話で言った。
この多機能ウォッチは通信機能もあって便利だ。
応答ボタンを切った僕はミーアキャット達を観察する。
二度目の不時着も砂漠になるとは思いもよらなかった。
「そのスイカは食べれるんですか?」
僕は小さな村の長老である年老いた黒人の男に尋ねた。
この年老いた男は気難しく、あまり話さないが…。
「それはここでも有名なスイカじゃ。日本産のスイカは見たことはあるが…」
カラハリスイカは、アフリカ南部のカラハリ砂漠を原産地とするスイカの一種で、東京の2倍の紫外線が降り注ぐと言われる厳しい環境でみずみずしく生きるため、「奇跡のスイカ」とも呼ばれている。果実全体の約97%が水分で、保水力に優れ、極めて腐りにくく乾きにくいという特質を持つ、まさに奇跡の植物である。
カラハリ砂漠は多量の紫外線が降り注ぎ、年間降雨量は250mm~500mmと極度な乾燥地帯である。加えて、夏季では日中の最高気温が40℃近くになる一方で、冬季は寒く、2℃まで気温が下がることもある過酷な環境だ。
このような環境下でも繁殖できる貴重な食糧として重宝され、砂漠で暮らす人々や野生動物など多くの生命に潤いを与えている。これまでの研究やスイカを生薬として活用する古来の知見に基づいて、潤いのほかにも、『身体の水分や血の巡りを良くする』『炎症などの身体の酸化障害を防ぐ』といった効果があると考えられている。またカラハリスイカには「シトルリン」という血管を拡張する成分が含まれていることも分かっている。
「それにしても…若いの。お前さんは何が目的でこの村に来た?」
「理由なんてありませんよ。運が悪くて飛行機が砂漠に落ちたんです」
「砂漠か。お前さんはどうやら砂漠と縁があるらしいな」
「多分…」
水も食べ物もない世界で生き抜くなんて僕には無理だ。
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