五元接続モデルナアーム〜謎のワクチンを摂取したJKは赤熱した両腕で怪人相手に無双します!

榊 せいろ

五元接続モデルナアーム

踊場おどりば市一帯に怪人警報かいじんけいほう発令はつれいされました。ただちに避難して下さい。繰り返します。踊場市一帯に怪人警報が発令されました。直ちに避難して下さい。」


町中に警報が鳴り響く。


「嬢ちゃん、この先で爆発があった!危険だから逃げよう。」

それに呼応こおうするかのようにポン!と言う爆発音が鳴り響いた。


「…逃げないよ。救いたいものがあるから!」

私は声をかけてくれたお兄さんを尻目に爆発の中心部へ向かった。


そこへ行くと、5階建てビルの壁に、爆発によってできたと思われる風穴が2階から3階部分まで広がっていた。


「今回の相手は一筋縄ではいかなそうね…」

まだ砂埃が舞っている。怪人は多分近くにいる。あたしが辺りを見渡していると、ポン!と何も無いのに私がいた場所が爆発した。


「ああ〜たまらねえ!やっぱり水素の音は最高っ!だな。」

現れたのはカーキ色の半ズボンだけを履いた半裸の男だった。スキンヘッドに、筋肉が盛り上がった上半身、胸に大きく入ってる「H7O3」というタトゥーが普通の人には無い威圧感を出していた。


「ん〜おかしいな?ここにいたツインテールのガキを爆発させたのに肉片が一つも残ってねえ。」


私は自分の能力でアスファルトを溶かし、地中に潜ったのだ。夏服なので潜りやすかったのだ。男はキョロキョロと周りを見渡している。

今がチャンスだ!


地中から男の真下に入り、拳を突き上げる!拳はアスファルトを突き上げ空へと突き飛ばした。


「あ、危ねえな!急に襲ってくるんじゃねえよ!」

男は突然の強襲にうろたえていたが、間一髪攻撃をかわしていた。


「それはこっちのセリフだから。あなただって危なすぎるコトやってるし、それに急に襲ってきたじゃない。」


「だからなんだよ!俺はただ水素の音を聞きてえだけなんだ!知ってるか?水素の音にはすごいリラクゼーション?効果があるんだってよ。」


やっぱり。彼も私と同じだ。

間違った情報に踊らされる被害者に過ぎないのだろう。


「…殺したり壊したりして、それって正しいコトなの?」


「うるせえ!お前も水素の虜にしてやるよ!」


男は腕を突き出し、手のひらをこちらに向けた。来る!あたしの勘なら、あれは爆発の合図だろう。


ポン!と音が鳴り、アスファルトが砕け散る。読みどおりだ!


「モデルナアーム!」

両腕が熱くなっていく。100℃…200℃…300℃…3000℃!

熱した鉄を遥かに超えた温度の腕は太陽の様に赤く色づいた。


私はその腕を砕け散ったアスファルトに向け、溶解させた。そして、剣の形に整形。超硬質の剣が完成した。


「これでもくらえ!」

私はその剣を男に投げた。


「そんなものこうしてくれる!」


男は接近してきた剣を爆発させようとしたが、ボンと爆発したのは男の方だった。


おそらくこの男の能力は水素を操り爆発を引き起こすと言うものだろう。水素は酸素と反応して水を作るのだが、その時爆発的なエネルギーが出る。そして、化学反応全てに言える事だけど、温度が高ければ反応も早くなる。

よって反応が剣によって早くなった結果、男の目の前で暴発してしまったのだ。


「立てる?これから病院送るけど?」


私は男に手を差し伸べた。


「何で…助ける?」


「あなたが勘違かんちがいしているからだよ。そういう人を見るとほっとけないんだ。」


「優しいやつだな。俺はスイソノートあんたの名前は?」


「あたしは大池百合おおいけゆり。みんなからは『モデルナアーム』って呼ばれてる。」


「その名前、一生忘れない。」


「一生だなんてそんな大袈裟おおげさな。」


こうして、私はその男を病院に送り届けた。



彼以外にも勘違い故に怪人にされてしまった人はたくさんいる。そういう人たちを1人でも救うのが私の使命…そう思いたいな!

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五元接続モデルナアーム〜謎のワクチンを摂取したJKは赤熱した両腕で怪人相手に無双します! 榊 せいろ @seilo2

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