墓前
子供が産まれて何年も経った。
あれから私は未来を見ていない。
結局何故未来を見ていたのか、どうして私にだけ起きたのか何も分からず仕舞いだったけれど。未来が見えなくなった私は何とか上手くやっている。夫とも変わらず仲睦まじく、子供はどんどん大きくなり今はもう小学生で。
お墓を洗いながら今までのことを伝えた。花立てに花を供えながら伝えた。線香を立て手を合わせる――見守っていてください――心の中で最後の言葉を伝えた。
余った手桶の水を花立の花に注ぐ。
ポケットの中で携帯電話が震えた気がするが、濡れた手で携帯電話に触る気にならず手桶を返す、それから電話を取ろう。そう思いながら私は霊園の階段を上り始めた。
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