回答.docx

 



 このファイルを読んでる方へ。

 これまでの内容に関しては、私の手帳を友人に送り、小説風に纏めてもらったものです。

 当然、小説風であるからして脚色や仮名などを使用しています。つまり全てが真実であるとは限りません。

 ただ、ここに一つの答えを提示したいと思います。これは私が辿り着いた答えです。



 呪いはありませんでした。

 より正確に言えばチヨによる呪いはありませんでした。

 チヨ、東野宮チヨは人智を超える力を持ち合わせていません。その所業は、人の手によるものでした。

 チヨは、その当時比肩することのない美貌と懐柔する力に長けていたとされています。最も有力な一重家に深く取り入り、実権を握ったわけです。

 名乗りを上げた東野宮家もでしたが、一重家も高齢化もしていたこともあり、子どもにも恵まれず滅びの一途でした。つまり彼女にとって取り入ることなど簡単でした。

 一重家には一人青年が居り、年齢が最も近い彼とチヨは近しい関係になりましたが、一重家と東野宮家の関係上、婚姻関係を結ぶこともなく、内縁、事実婚となりました。

 肉体関係に関しては一重家全ての男と持っていたそうです。そして生まれた子もその分、多かったそうです。

 一重家には男が多く生まれ、東野宮家には女が生まれ、一重家とチヨのみの関係だけではなく次第に一重家と東野宮家の関係となっていきました。現在まで子孫を残せたのも両家の交わりがあったからです。

 東野宮家は表を取り仕切り、一重家はその邪魔となるものたちを裏から消す。陽と陰の部分を分担していました。

 つまりあの穴に落とされた者たちは東野宮家にとって邪魔になった者たちでした。それが伝承となってあのような話として伝わっているようです。

 今回の一連の流れもそれを発端とするものでした。

 力が地に落ちてしまった東野宮家とまだ立場のある一重家の関係性としてはそうならざるを得ません。

 もう一度、この伝承を始めようとしたのです。

 一重家と東野宮家の最初の子である慎吾は、男性としての機能が不能でした。佳子も高齢であり、子を産むことはもう不可能と言っても良い。つまり一重 茂が美智子と子を成すしかありませんでした。

 そしてそれを知った慎吾は過去を知らない、いえ、過去を知っていたにせよ裏切りでしかなかった。茂と佳子がその悪しき風習をまた始めようとすることを村に広め、村人をけしかけました。結果、あのような惨殺となったわけです。

 そして、既に美智子も死んでいました。状況を見るに、慎吾に殺されたようです。

 今回の騒動はそれで終わりです。これが答えです。

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