記録 証言B

 そうだな。そこのもんじゃ知らないだろうな。

 まあアンタが知っているのも不思議なもんなんだが、教えてやってもいいよ。

こんだけ貰ってるんだからな。それに……多分、そろそろ収束するころだろうしな。

ああ、いいや、こっちの話だ。それでそのカミサマなんだが、単純明快なカミサマでよ。

捧げものをすれば村の存続だったり、

住んでるものの幸福は約束してくれるってカミサマなんだよ。

そうだろ、良くある話だろ。それでまあ察しの良い兄ちゃんなら

分かると思うんだがその捧げものは当然、生きている人さ。

まあ条件はあったがな。その条件ってのは村で一番裕福なものってことだ。

老若男女問わず。裕福であれば誰でもいい。人数も何人でもいい。

怖い話だが本当に何人も捧げていたらしい。

そのうち誰も裕福になりたくないようになっていって、飢餓状態にわざと

なろうとしたこともあるらしいが、村のぜんぶの家に前に御馳走が並べてあった

ことがあったそうだ。そんな得体のしれないもの食べないと思うが

食べたやつもいた。そうすればびっくり、食べたものだけが助かったそうだ。

実は空腹に耐えきれず、ほとんどの村人が食べたそうだが。

それからはあきらめたんだろうな。村人の長は、取り決めをした。

一家族を指名して一年とことんもてなしたそうだ。それからその家族を捧げものにする。どこぞにある穴に突き落とすんだ。俺も見たことはないが、あれこそ奈落だというものもいる。しかも、だ。その穴の壁は、誰かが綺麗にやすりがけしたようにつるつるなんだとよ。まあまず落ちた時点で即死級の高さらしいがな。だからよ、落ちて生きようが死のうが生還は無理だって話だ。生きてたほうが地獄だろうかな。

なによりそれが俺のひいじいちゃんの代まで続いていたってのが恐ろしい話だ。つい最近だぜ? 信じられないよな。

俺か? ……そうだな。まあこれは秘密にしてほしいんだが、

俺はそれがカミサマだとは思っていないんだ。

いやいや、違う違う。誰か分からないが、誰かの呪いじゃないかと思ってる。

そうだ。呪いだよ。誰かがこの村に掛けた呪い。そんないるかどうかもわからないカミサマに捧げられてみろ。呪いたくもなるぜ。

……ああ、そういえばあの一重って名字の家あるだろ? あの家は一番古いって聞いたことはあるな。

行ってみたらどうだ?

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