扉 2007,6,9

扉を開いて進んだ 一度進んだら扉の外へは戻れない

そうやって皆 生きている


ふと、遥か以前に開いた扉を思い出し懐かしんだ

扉を前にして、どうやってそれを開くかを語り合った友

重く大きな扉にくじけそうなとき、向こうから聞こえた声


不可思議な扉の、難解な施錠に、立ち向かった日

戻れない扉の外


この懐かしさと哀愁は 後悔だろうか?

この旅は 終わらない航海だろうか


新しいステージへと進む時に必ず脳裏をよぎる不安がある


でも、期待と好奇心がいつも勝るのだ


旅が終わる時というのは多分

期待と好奇心よりも不安が勝り

その場所に腰を降ろした時なのだろう


きっと その時誰もが思い出すだろう

初めて大きな 扉を前にした時の興奮を


開いた時の感動を


その扉が 重く、大きかったと

添えられた手が 大きく優しかったと


辛い日々が記憶を薄れさせて

奥底に閉じ込められてしまいがちになる


でも

最後に皆気づくだろう

身体は確かに扉を戻れない

しかし

記憶はいつでも還ることが出来た


扉の一つ一つを遡り

今を生きる力を引き出す


見るといい

新しい扉をノックする小さな手を


今度は、その手を添えて

最初の扉を開くために 力を貸そう



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