-59- 「足音」

 田舎の親戚の家に泊まった時、夜中に寝ていると、ギシギシと廊下の床板が軋む音に気が付いた。


 そっと廊下を覗くと、まるで誰かが履いて歩いている様に、スリッパだけで勝手に歩いていた。


「何だ、スリッパだけか」と安心して、僕は布団に入って寝直した。


 軽いスリッパだけが廊下の上を歩いたところで、音が鳴る程廊下の床板が軋む筈がないと、帰りの道中でふと気付いた。

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