-51- 「水中ゾンビ」
お盆に親戚の家に行った帰り道、大雨で、大きい橋の下を潜る道に水が溜まっていた。
運転席のお母さんは少し悩んだけど、結局車を水に突っ込ませた。
車は水没して止まってしまい、うんともすんとも言わなくなった。
「真実、悠太、この車はもうダメよ。外に出るよ、急いで」
シートベルトを外してドア開けようとするお母さんに、僕と悠太も慌ててそれに倣う。
僕は助手席のドアを外に開けようとするけれど、普段とは違って、ドアがとても重い。
窓から外を見ると、腰まで水に浸かりながら、ドアを開かないように外側から押さえている、丸々と太ったゾンビみたいな女の人がいた。
僕が死ぬまでドアを開けさせない気だろう、僕はゾッとした。
「開いたよ。早く出て」
運転席の方を見ると、お母さんがドアを開け、みるみる水が入ってくる車内から、僕と悠太を引っ張り出した。
ゾンビみたいな女の人が、じゃぶじゃぶと運転席側に回ってくるけれど、僕達はその前に車から離れて、安全な場所まで移動した。
ゾンビみたいな人が、一人しかいなくて助かった。
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