-23- 「井戸神様」

 親戚の家の庭には、もう使われていない古い井戸がある。


 井戸の上に蓋をして、重い石を上に載せて開けられないようにして、そしてプラスチックのパイプが一本刺さっている。


 パイプの切り口に耳を近付けてみると、スーハー、スーハーと、誰かが呼吸をしている様な音が聞こえる。


 おじいちゃんに聞いてみると「古い井戸を埋める時は、井戸の神様が息できるようにパイプを一本立てとくんじゃ」と教えてくれた。


 僕は「なるほど」と思った。

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