秒殺怪談録 真実少年の覚書「変なイキモノ」２冊目

－１６－ 「すみこみ」

　うちの近所の、誰も住んでいないはずの家。

　別の街に住んでる持ち主が時々来て、戸や窓を開けて空気を通してる。

　電気はまだ通っているらしく、暑い日や、寒い日は、電気メーターの円盤がぐるぐる凄い勢いで回ってる。

　庭の草が刈られていたこともあって、持ち主の人は誰が刈ってくれたんだろうと近所の人に聞いて回っていたけど、結局わからなかったようだ。

　僕はどいつが刈ったのか知ってるけど、勝手に住みついて勝手に暮らしているだけだから、別にお礼は必要ないと思う。