裁定者

男は逃げていた。


迷路のような公園の中を、追われながら必死に駆ける。


前方の注意に欠けていて、緑と黒で覆われた、それらに気付かずにぶつかり、頭から転ぶ。


「何…、何なんだよ、お前らは!」


男は叫ぶ。


「われらは裁定者」


「裁きを下す者」


「使われし者」


緑と黒のそれらは、口の無い頭で応える。


「われらは見守るだけ」


「そして、裁定を下す」


男は、また駆け出した。

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