ラマダンプ

美味しい馬刺しを出す店があるらしい。


しかも、女の子と話せる店だ。


そう先輩に言われて付いてきた。


「いくらかかるんですか?」


「3~4万ぐらいかな。そんぐらい持ってきたよ」


財布の中身を確認する。


念のため、多めに持ってきて良かった。


店の前まで来ると、ものすごい行列だった。


「え、こんなに並んでるんですか…?」


半信半疑な感じで、恐る恐る受付に近付いていき、


「あの、ラマダンプってここですよね?」


と受付のボーイに聞くと、


「ああ、ラマダンプはあっちね」


と、裏側の入口を指差された。


どうやら表側と裏側とで趣旨が違うようだった。


そっちに行くと、何やら怪しげなラマの銅像があり、雰囲気が先ほどとは異なった。


入店を伝えると、まずは、お清めの時間がある。身体を綺麗にする時間だ。


これで入店前の準備が整い、初めて席に案内されるわけである。


しかし、ただ馬刺しを食べるだけなのに、こんなに用意周到に構える必要があるのだろうか。


気になって、店員に聞いてみた。


「なんでこの店って、こんな高いんですか?」


「うちは、最初はそこまで高級な馬刺し扱ってなかったんだけど、どうせなら美味しいもの食べてもらいたいってなって、肉の質にこだわってたら、いつの間にか高級路線に変わってたらしいよ」


というような話だった。


後から、女の子と話せるオプションも付けるようになったらしいが、この辺りは完全に店主の趣味が関係しているようだった。


「次のお客様ご来店です」


私たちは、ようやく店の中に入った。

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