ケモナーの決着!4
アーボを含めて初の挑戦も見事に敗北した。男1人と女3人、ポリゴン片となり試練の塔第1層から姿を消した。そして用事があると言って抜けた男を除いた彼女らは今、はじまりの街にて集合していた。尚、女1名何故か正座して、残りの2名へと向かい合っていた。
「すびばせんでした」
怒られていたのだ。正座していた者の名はフロスだ。先の戦いにてアーボとドラゴンカプセルの話で盛り上がっていた者、そして戦犯である。
「ねぇ、私たち何してたんだっけ?」
無表情でアリスがフロスへと問いかける。そんなアリスにフロスはさらに萎縮してしまった。
「た、戦ってました……」
小さくなりながらもアリスの問いに応える。その声はどこか震えていた。
「うん、そうだよね? その間フロスは何してた?」
「で、でも私たちだって一緒に戦ってーー」
「何してた? って聞いてるの」
「は、話してました……」
「うん、それで?」
ただ話していただけならばアリスも何も言わないだろう。問題はそのあとだ。
「せ、制御を失ってリルが魔法を使っちゃいました……」
「うん、ただの戦犯じゃん」
彼女は先の戦いでの戦犯だったのだ。ちなみにリルが暴走した訳ではない。アーボと話していた時に「氷」と言う単語を口にしたためにそれが信号となり魔法を放ってしまったのだ。完全なる戦犯なのだ。
「あ、あー……ま、まあただのゲームなんですし……いいじゃない?」
少し目を潤ませ、フロスはアリスへと道場を誘う。
「ねぇ、少し前に言ったこと覚えてる?」
わずかに心当たりがあったようでフロスは少しうろたえる。
「な、何のこと……ですか?」
そして彼女はごまかすことを選択した。
「言ったのフロスだよね? 負けたら死ぬくらいの気持ちでやろうって、そうしないとまず勝てないって、うん、たしかにその通りだったよ? 勝てなかったね? ほかでもないフロスの油断で。最初に挑戦した時くらい呆気なかったよ?」
そう、フロスはみんなを鼓舞するためかデスゲームのつもりで挑戦しようと宣言していたのだ。
「私頑張ったよ? リーフも頑張った、改めて聞くね? フロスは何してた?」
「……すみませんでした……」
「何が?」
「何もせず挙げ句の果てには制御できず暴走して魔法を放って敗北に導いたことです……」
何度も言うが決して暴走した訳ではない。全てフロスが悪いのだ。リルは何も悪くない。
「改めて聞くとすんごい戦犯っぷりね……」
「ま、まぁ……もういいんじゃない? フロスも言う通りゲームなんだし」
「それもそうだね、それじゃあ次の作戦考えよっか!」
ようやく許されたことでフロスは顔を明るくする。
「うんっ! やっぱりゲームだもんね! 仕方ない!」
リーフがこの言葉を発する分には問題ないだろう。戦犯をかました人物であるフロスが言うから問題なのだ。
この後こってりしぼられたのは言うまでもないだろう。
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