ケモナーの初敗北!
「……っ! どこから!?」
現れたのは巨大な百足……の形をした骨だった。上から降ってきた百足はそのままフロスを触角で吹き飛ばした。
「フロス大丈夫!?」
「なんとかね……それよりあいつ弱いよ! HP1割も減ってない! ただ……あの足まで攻撃に使えるなら接近するのはきついかも……」
「それじゃ魔法だね! 【ウィンド・オブ・スラッシュ】食らえ!」
アリスは即座に魔法を放ち、百足にぶつける。すると表示されているHPバーのおよそ4分の1が消失した。
「あいつ体力もない! このまま押せば勝てるよ!」
相手があまり強い部類ではないことを悟り、3人は安堵し、そして油断してしまった。その一瞬の油断が最悪の結果を招くとも知らずに。
「もう一発いくーー」
「アリス!」
二発目の魔法を放とうとした瞬間にアリスがポリゴン片となって消滅する。
「っ!【
ほぼ反射的にリルを召喚し、百足へとけしかける。しかしすぐに消滅して気がついた時には既に百足がフロスの前に佇んでいた。
「フロス逃げてっ!」
リーフの声が響く。フロスが最後に目にしたのは百足が触角を上げ、振り下ろす瞬間だった。
◆
「何よあれはっ! 勝てるわけなくない!? 一撃だったんだけど!」
始まりの街へと戻されたフロス達3人は一度集まって作戦会議をしていた。その最中、真っ先にやられたアリスが吠える。
「うーん……でもフロスが最初に攻撃された時は1割しか減らなかったんでしょ? それなら何かしらのギミックがあって私たちがそれを満たしたってことだから……アリスの魔法攻撃かフロスが攻撃を受けたことか……これ死にゲーだよ」
リーフの考察に二人も頷く。
「多分攻撃力とスピード1000%アップとかじゃない? それならアリスが一撃でやられたのも頷けるし……一番可能性が高いのは魔法攻撃だと思うよ? でも攻撃を受けるなっていうのは流石にゲームとしてないだろうし……魔法攻撃がダメなんじゃない?」
「そうだね、魔法攻撃なしで戦ってみる?」
「魔法なし……リーフとアリスって物理スキルどんくらい持ってるの?」
「私はスラッシュとダブルスラッシュくらいかな?」
「うーん……
「私は……うん、自分だとないね、というかテイマー兼ウィザードなんだから物理攻撃スキルなんて持ってるわけなくない?」
なかなか厳しい状況に3人は唸らされることとなった。
「「「取りあえず行ってみる?」」」
3人で同時に提案する。
「うん……行こっか」
3人で再び試練の塔へと足を運んでいった。
歩いている最中、フロス達は今回の作戦についてまとめていた。最も作戦とは言っても魔法攻撃が禁止というだけだが。
「……またしばらく待つことになるのかな?」
試練の塔第1層に入ると、再び無機質な空間に閉じ込められる。
「しばらく待ってみよっか」
しかし、待てど暮らせど一向に敵は現れない。
「おっかしいなー……敵感知には確かに反応してるんだけど……」
リーフが持っている敵感知スキルにはしっかりと反応しているようで、3人とも首を傾げる。
「……もしかしてさ、部屋から出ようとして扉に近づいたら出てくるとか?ほら、前もフロスが扉に近づいた瞬間出てきたじゃん?」
思いつくがままアリスは扉へと向かって行った。すると思った通りに、先程フロス達を瞬殺した百足が姿を表した。
「あっぶな……っ!」
現れた瞬間、アリスに向かって触角を振り下ろし攻撃を加えようとするが、あらかじめ見ていたアリスはこれを受けずに躱してフロス達がいるところへ戻っていった。
「取り敢えず……【スラッシュ】【ダブルスラッシュ】!!」
再び距離を詰めて百足に連撃を加える。多量にある足、及び触角での攻撃を警戒してのヒットアンドアウェイ作戦だ。
「フロス! なんか召喚して物理攻撃!」
戻ってきたアリスはフロスへと指示を出し、次の攻撃への準備を始める。
しかし、この準備は無意味なものとなってしまった。前回同様に、百足の速度が急激に上がり、一瞬にして姿を消す。そして今まさにスキルを発動しようとしていたフロス、同様に
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