おかえりのキスは濃厚
「仕事行ってくる。」
「あ!待って、」
ん?なんか忘れ物したか?弁当箱はちゃんと持ったぞ?
「行ってらっしゃいのチューするの!」
「あぁ、そう言うことか。」
「行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい!」
ちゅ♡
なんか新婚みたいだな。真っ赤になりながら外に出る。こんな顔で駅に入るのは恥ずかしいな…。なんで顔の火照りが直らないんだよ!賢者発動しろぉ!
何とか駅に着くまでには顔の火照りは消えていた。しかし、会社に付いた瞬間にまた火照ることになった。
「裕太あんた、もうヤッたのね。しかも5回もって、絶論だったのね。ちょっと怖いわぁ。」
「うわぁぁぁ!な、なんで知ってんだよ!沙姫から聞いたのか?やめろぉ!」
「ちょっと裕太声がでかい!シーっ!」
沙姫と似たような顔つきで、いや正しくは沙姫が似たんだが…。そんな顔つきで唇に人差し指を押し当てて、声を抑えろと言う絢香。妙に色っぽくて、しかも指摘されたことで昨日の沙姫を思い出してしまう。
「裕太大丈夫?顔赤いよ?もしかして思い出した?ピュアだなぁ。うふふ。」
こいつ!分かってやがる!くそぅ。家に帰ったら沙姫に、って言うかメッセージで叱っとこ。
『騙されてるのかもしれないが絢香にだけは情報を漏らしたらダメだ!俺の会社での生活が…終わる。』
『無理だよ。だって同棲認める代わりに私に情報を漏らせって言われてるんだから。』
なんだよそれ。絢香には旦那がいるだろ!そっちで我慢しろよ!おかずのネタの提供じゃねぇんだぞ!
「絢香、昼休憩の時少しいいか?」
「あら、何かしら、そんな怖い顔して、襲わないでね?」
「誰が襲うか、あほか。」
「まぁ、わかったわ昼ね。あぁ、そういえばカフェに行く予定だったのになぁ。時間潰れたら行けないなぁ。」
「わかったわかった。どっかで奢るから、それでいいだろ?」
「分かればよろしい。」
また財布が軽くなった。まぁ、多分受け取れない代価に比べればマシか。
「で、話ってなによ。」
お昼に入ったレストランでパスタを食べながらそう聞く絢香。
「沙姫の件なんだが、俺が責任をとることを許して欲しい。ぶっちゃけ言ったら、いずれ挨拶に行くのを絢香にだけ早めて伝える感じだ。」
「逆にあんたはそれでいいの?ほんとに沙姫でいいのね?」
「いい。で、だ。お前同棲の条件で情報を漏らせって言ってるらしいが、それを取り下げて欲しい。もう責任をとることには、互いに意見が一致してる。だから、取り下げてくれないか?」
「ん〜、やだなぁ。でも、まぁいいか。裕太は絶論って聞いたからそれで満足。やっぱりピュアは変わらないってことだけどね。」
「まさかお前の差し金か?」
「ん?何か言った?」
目が怖い。やめとこう。何か逆鱗に触れそうな気がした。ピュアはお断り。もしかしてこいつのことか?
昼休憩が終わって沙姫に連絡を入れる。
『もう連絡は漏らさなくて良くなった。だから秘密にな?』
『いいけど、友達に言うとかはいいでしょ?』
『まぁ、多少はな?その、シてる時のこととかは言うなよ。』
『了解!』
さぁ、さっさと仕事終わらせて帰るぞ。
少し時間かかってしまった。もう20時だ。
「ただいま」
「おかえり裕太♡ん…」
あぁ、おかえりのキスか、
ちゅ♡
行ってらっしゃいはこれで済んだのにおかえりのキスは終わらなかった。
はむ……ん♡……れろぉ♡…んっ♡………ちゅ………裕太♡…んっ……好き♡……んちゅ♡
これ以上は危険だ!俺の理性が!
「ストップ!先ずはご飯食べよ?お腹すいたよ。」
「はーい♡今日は裕太の好きなハンバーグだよ。」
はい最高。やっぱり沙姫はいい子だ。
「食べたらどうする?」
「風呂入ろうかな。」
「わかった!」
何か嫌な予感がしたのは気のせいだろうか。
食べ終わって脱衣所に向かう俺。その後ろにくっついてくる沙姫。いや、だろうなとは思ったよ。だよね。わかってた。うん。
「やっぱり一緒?」
「あったりまえじゃん!あわよくばヤる?」
「風呂ぐらいは休ませてくれ…」
「風呂だとヤッでもすぐ洗えるからねぇ。」
あぁ、聞いてない。俺の唯一の癒しの風呂は癒しじゃなくなりました。
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