伝説のラピスラズリは340カラットを超える重さだと言われている。

内部に傷や不純物が全くないため、見つかれば高値で落札されるだろう。

ラピスラズリは９月の誕生石である。この石の魅力は、何といっても深く濃いブルーにある。他に類を見ない、吸い込まれそうな濃紺だ。そこに浮かぶ白い模様や散りばめられた金色が、まるで夜空の雲や星のようにも見えて、とても神秘的である。

ラピスラズリはラズライト（青金石）を主成分とした混合鉱物だ。この不思議な模様はカルサイト（白い筋のような部分）やパイライト（金色の部分）などの混合成分によるものだ。

世界各地で「神につながる石」として、様々な儀式や呪術に用いられてきた。そのことから、ラピスラズリは「世界で最初に認められたパワーストーン」だといわれている。単なる宝石の枠を超え、人々がこの石に、何らかの聖なる力を感じたということだろう。この石の不思議にまつわる伝説や説話は、世界中に数え切れないほど残されている。

私もラピスラズリについて調べたが、伝説のラピスラズリに辿り着くまでには時間がかかるだろう。

「ゼルトマン博士、また伝説のラピスラズリですか？」

助手のポール・オーティスが不満げな顔をする。

「見つけるさ。必ずね」

私はポールに自信満々に答えた。