夢の味

私と例の男の人は街で一番美味しいかき氷のお店に来ていた。

というか…私はこの人のことを警戒しているが。

「自己紹介してなかったね」

男の人はばつが悪そうに自己紹介をした。

「俺はツバキ・ヤマナカ。君と同じ日系人」

「はあ…」

私は覚束無い返事をする。

茶髪だし、吊り目だし怖いな…。

かき氷専門店で私達はシェイブアイスを注文した。

シロップの種類はリリコイ(パッションフルーツ)、やマンゴー、パイナップルといったハワイらしい南国フレーバーから、日本人の好きなイチゴやマッチャ、ユズまでバラエティ豊かだ。

私はパパイヤのシェイブアイスを注文して、ツバキさんは虹色のシェイブアイスを注文した。

シャリシャリとした味わいが人気なのでこのお店は儲かっている。

「そんで、君は何歳なの?」

「女の人に年齢を聞くなんて失礼ですよ」

私はツバキさんの言動に苛立ちを覚えた。

「ちなみに俺は18歳。酒も飲める」

自慢なのか、挑発なのか…。

「いつか君のことも知りたい。興味本位で」

ツバキさんは意味が分からない人だ。

なんで私はこの人のことが嫌いになれないんだろう。

心臓がバクバクする。男の人といるからかな。

シェイブアイスを完食した私達は海へ向かった。

私はサンダルを脱ぎ捨てて波打ち際ではしゃいだ。

足裏で砂を踏むと落ち着く気分になる。

ツバキさんは来ないのかな?

「俺はいいよ。君の笑顔が見れてよかった」

ツバキさんは私に笑いながら言った。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る