怖いコンビニの話

春海水亭

家庭ごみ

 コンビニにゴミ箱ってあるじゃないですか。

 まぁないところがあるのかもしれないんですけど、とりあえず、あるものと思ってください。立ち読みだって出来ないところは増えても、やっぱり皆存在は知ってるものですし。

 まぁ、コンビニのゴミ箱っていったら買い物で出したゴミを捨てるようのゴミ箱なので、注意書きが書いてあるわけですよ。


「家庭のごみはご遠慮ください」

 

 色々理由はありますけど「ごみ処理だって無料じゃないのに、相乗りしてんじゃねーよ!」が店側の根本的な理由かもしれませんね。


 まぁ、でも私が見てるに店員さんだってそんな光景を見ても実際注意しないんですよね、いや店長とか正社員の人とかは注意してるのかもしれませんけど、私がコンビニに行く時間帯って大体バイトの子しかいませんから。

 怖いでしょうからね、平然とルールを破る人間に絡むのって。


 でも、一回だけ、私コンビニ店員が家庭ごみ捨てるお客さんに注意してるところ、見たことあるんですよ。


 ガン、ガン、ガン、ガン、ガン。

 そうですね、三十歳ぐらいの女性がそんなふうに音を立てて、ゴミ箱の口にゴミを突っ込もうとしてるんですよ。

 大きいんですよ、そのゴミ。

 入口よりも、一回り二周りぐらい大きい。

 でも、すごい勢いでガンガンガンガンやってるとちょっとずつ削れていくから、もう怖かったですね。ゴミ箱に入れられるようになるまでガンガンガンガン。

 幼児の頭ってあんな脆いんだなって思いました。


 ええ、あの人子供の首根っこ掴んで、頭からガンガンガンガン、ゴミ箱に入れようとしてるんですよ。

 さぁ……わからないけど、自分の子だと思いますよ。

 他人の子をゴミ箱に捨てようとするの、多分殺してからやると思うんですよね、よく知らないんですけど。


 まぁ、なんか子供の足元にお菓子とか散らばってたんで、なんかおねだりでもして、失敗したんじゃないですかね。


 私……いや、無理ですよ。周りの人も無理でしたね。

 だって、ゴミ箱に子供突っ込もうとして、ガンガンガンガンやってる人間と関わりたくないですもん。

 子供?生きてましたよ。


 血をいっぱい出して削れながら、泣いてましたもん。


 しばらくして意を決したように、店員さんがあの女性の方に向かっていきました。

 ガンガンガンガンやってる女性の背後に回って、後ろからそっと声を掛けたんです。


「家庭のゴミは家庭で処分してください」って。


 ニュースにはなってなかったんで、上手く処分されたんでしょうね、あのゴミ。

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