第4話 夢の世界の終わり
それから、数時間は探検を続けていただろうか。あたりにはトンボが飛び回っている。空は一面、茜色に染まっており、日は沈もうとしていた。
「なんか、誰もいなかったわね。あたり一面、自然があるのは遊ぶのにピッタリかもしれないけど、ここまで誰もいないと不思議に感じるわね。」
「だから言っただろ、俺も何回か来てるから知ってるけど、ここには生き物がいないんだよ。」
真矢は今まで探索していて思ったことを口にしていたが本当にその通りだった。龍矢も言っている通り、今日、この周辺を探索していたが誰にも遭遇しなかった。
本当にあたりは自然が溢れているだけで人間はおろか、動物や虫でさえいなかったため、僕は少しだけ気味悪さを感じ始めていた。
「ねぇ、そろそろ帰らない?なんだか飽きちゃったよ。それに、なんだかここは気味が悪いし、早く帰りたい。」
僕は先ほどから気味悪さを感じていたため、さっさとこの世界から抜け出したいと考えていた。そこで、この儀式の方法を教えてくれた龍矢に帰り方を訪ねる。
「あぁ、この世界は太陽が沈んだら勝手に目が覚めるんだよ。だから特に何かをするわけじゃない。」
「ふ~ん、そうなんだ。それなら心配ないか。」
「ねぇ、そういえばこの儀式の名前ってカクレユメっていうのよね?いったいどういう意味なの?」
由佳はこの儀式の名前の由来が気になったのだろう。日が沈み、夢の世界が覚めてしまう前に龍矢に尋ねたいようだ。
「名前の通りだよ、夢の中でかくれんぼを行うからカクレユメって言うんだ。」
「なんだ、その通りなのね。そういえば、今日は探索ばかりしてかくれんぼをしていなかったけど良かったの?」
そう言われると龍矢は頭を掻きながら考え始める。
「う~ん、そう言われれば確かにしなかったよな。いつもは、かくれんぼを必ずやっているんだけど、今までやらなかったことはないからな。なんか、カクレユメのルールでそれについての話があった気がするけど忘れちゃったな。」
「なによ、使えないやつね。」
「なんだと!お前だけには言われたくないな。」
龍矢の言葉に真矢が割込み、再び言い争いに発展する。二人がしばらく言い争いを続けていると日は沈みはじめ、あたりは夕やみに変わり始める。
「ほら二人とも、いい加減にしてよね。続きは明日にしなさいよ、今日は日が沈み始めたんだから、もう目が覚める時間でしょ。また明日ね。」
「はぁ、仕方ない。続きは明日やってやる。覚えとけよ。」
「あんたこそ覚えてなさい。」
由佳が二人をなだめ、二人はとりあえず休戦する。
「じゃあ、また明日。」
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