声劇 『 夏 』

Spoonリレー小説・声劇部

第1話 「花火大会」 サクラバ

     20代後半の男女のカップル


     花火の音がドーンと鳴る。


男「おお、いつもながら響くね~、花火の音って」


女「はーい、スイカ持ってきたよ」


男「お、いいね!花火、スイカ、そして浴衣まで着て、これぞ日本の夏」


女「うん、そうだね。やはり、これだよね」


男「(食べながら)冷えてて旨い」


女「うん、美味しいね。ねえ、知ってる?」


男「何を?」


女「今年で3回目だよ。一緒に花火を見るの」


男「3回か、そんなに経つか」


女「ねえ、私達そろそろ、けっこん」


     大きな花火がドーンとなり、女の声と被る


男「た~ま~や~!か~ぎ~や~!」


女「なにそれ」


男「え!知らないの?花火がドーンとなったら『た~ま~や~』とか


  『か~ぎ~や~』言うじゃない」


女「そのぐらい知ってるわよ。違うの、私の言った言葉」


男「ん、今、何か言った?」


女「聞いてないの?まったく・・・」


男「今の花火の音が大きかったしな」


女「だから、そろそろじゃない、私達」


男「なにが?」


女「けっこん」


     また、大きな花火がドーンとなり、女の声が聞こえない


男「たまや~!かぎや~!」


女「聞こえてないの?」


男「聞こえたよ。俺たちも、そろそろ、けっこん」


     またまた、大きな花火がなり、男のけっこんが消される


女「え、今何か言った!」


男「あのね、男はねえ、この言葉は2度も言わない」


女「あ、ずるい!もう一回言って。確かけっこん・・・」


     花火の音が二人の会話をかき消す。


     花火が何発も打ち上げられる。


     そして、花火の音がプツンと消える。


男「あぁ、今年もTVで花火大会か!来年こそ、生で見たいよ」


女「ったく、いつも音量がデカいのよ」


男「せっかく、今年はサラウンドスピーカーまで買ったんだよ」


女「近所迷惑」


男「このマンションは防音しているから大丈夫。だから・・・」


女「なによ、いきなり。私の方へ倒れてくるの?やめて!」


男「違うよ。君の背にしているクッションの下に大事なものが・・・」


女「顔が近いよ。やだ~」


男「もう少しで取れそうだ。・・・よし、取れた」


女「それで、何取ったの?」


男「はい、プレゼント」


女「え!これって・・・」


男「そう、結婚指輪!」


   


                       おわり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る