第3話

近くに宿はないが、オレは薬草を操り女の子を治すことに成功した。

高い熱だが簡単だった。熱が下がる頃には夕方になっていた。


「ふえええ、あいあとおございましゅ……」

「奴隷だったんだろ。あそこで死なせるなんて選択は出来なかったぜ」


何故か女の子はオレに豊満な胸を押し当て擦り寄ってきた。

向こうが押し付けてきたんだ、腕を動かす度に触ってしまう。

女の子は「ふぇ」とか「あう」とか高い声で喘いでいた。まだ苦しいのだろうか。


「おまえ、名前は?」

「ぼあ……ぼ、た、ん。でしゅ」

「ボタン。よろしくな、オレは……ハギだ。好きに呼べ」

「ではぁ、ご主人様!」


嬉しそうに頬を染めて目を潤ませるマエル。


「何だその呼び方!」

「ぼたんは、どれーでしゅ……拾ってくえたあなたしゃまは、ご主人様でしゅ……」

「行くあてはないのか?」

「ふぇえ、あいましぇん……」


仕方ない。オレもパーティを追放されて母国に帰る途中だった。

この奴隷の子を一人にしておくわけにもいくまい。


「オレとくるか?」

「はわわぁ……♡ぜひお願いしましゅう……」


ボタンは心なしか恍惚としていた。

追放される無能なオレにも、誰かを救えたようだ。やったぜ。


こうしてオレは奴隷の子ボタンと旅をすることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る