With Helen
WTF
第1話
名前はサム、出版社の編集長の父と役者の母との間に生まれた7歳の少年、学校にすら行けていないため、年齢に対して相応の読み書きができない。
生まれつき病弱であり、0歳の頃から高度な治療を受けている。
鳥籠のような病室で生命維持措置が無くては生きてはいけない。
一時は命の危機に陥ったが医師たちの懸命な治療により危機を越えることができた。
「早く良くなって学校に行って、そしてたくさん友達を作って、やりたい事をたくさんしようね」
母親の希望的観測にサムは頷いた。
3ヶ月後
「先生が良くなってるってよ、だから今日からはここに住む事になったよ」
サムは丘の上のサトウカエデが植えられたサナトリウムに移された。
人里離れた、静かに時が流れる南側の暖かい病室のベッドの上でドナーを待つだけとなってしまった。
「今日からお世話になります看護婦のシャーリー•キースです何かありましたらお呼びください」
両親が呼ばれた。
「残念ながら彼は非常に特殊な体質のため適合するドナーが見つかる確率は極めて少ないです、私どもはできる限り治療方法を探しますが、最悪の事態も覚悟してください」
主治医が辛そうに説明する。
5ヶ月後、経過観察のため病院に行き精密検査を受けた。
しかし結果は最悪に変わっていた。
「エヴァーレットさん、大変申し上げにくい事ではありますが、お子様はこの後もドナーが見つからなければ残念ながらもってあと1年でしょう」
突然の余命宣告に母親は顔を押さえて泣き崩れ、そっと寄り添うように父親が身を寄せた。
「サムには言わないでください、せめて最期の時くらい楽しく好きなようにさせてあげてください」
主治医は静かに了承した。
With Helen WTF @Morishita1129
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