ひろし、バッジをもらう
魔術武闘家は地面を蹴って一気に踏み込むと、豪快な後ろ回し蹴りを放った。
バババッ!
しかし、その瞬間魔術武闘家は目を疑った。
バチッ!
なんとイリューシュが後ろ回し蹴りをよけながら魔術武闘家にハイキックを決めたのだった。
「「「わーーーー!」」」
『なんというとこだ~!! 弓使いが武闘家にハイキックです!! これは予想外中の予想外!』
イリューシュの予想外の攻撃に魔術武闘家が思わず
ガンッ!
魔術武闘家はそれを腕でガードした瞬間、
ブワッ、ドガッ!
なんとイリューシュは足を高く上げ、かかと落としを魔術武闘家の
「しまっ……」
ヒュッ、ドッ!
最後にイリューシュは魔術武闘家にヘッドショットを決めると笑顔で
魔術武闘家は苦笑いしながら消滅していった。
「ふっ。やっぱり普通じゃありませんでしたね……」
シュゥゥウウ……
「「「わーーーー!」」」
『素晴らしい試合でした!! 優勝はイリューシュさんです!』
パチパチパチパチ!!
イリューシュは視界に現れた「時計台広場へ戻る」を押すと、時計台に転送されて視聴リクエストがキャンセルされた。
めぐとアカネは時計台に戻ってきたイシューリュに駆け寄ると二人で抱きついた。
「イリューシュさん、かっこよかった! すごいよ!」
めぐが
「まじ最後が最高でした! 弟子にしてください!」
「ふふふ」
イリューシュは笑って答えると、おじいさんがやってきて言った。
「イリューシュさん、素晴らしい腕前に感動いたしました」
「ありがとうございます、ひろしさん」
イリューシュは笑顔で答えた。
すると大画面の左半分にはイリューシュの姿が映し出され、アナウンスが流れた。
『ではベテランクラスの結果発表になります!』
すると大画面に試合結果が表示された。
ーーーーーーーーーーーーー
ベテランクラス
優勝300点:イリューシュ
二位200点:カイ
三位100点:漆黒の剣士
ーーーーーーーーーーーーー
『そして、入賞チームです!』
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一位:To The Top 500点
二位:チームめぐ 400点
三位:不屈の戦士 300点
三位:武闘家倶楽部 300点
三位:てんてんと仲間たち 300点
ーーーーーーーーーーーーー
『おめでとうございます!』
「「「わーーーー!」」」
すると、大画面を見たアカネが呟いた。
「なぁ~んか、気に食わないなぁ」
そう言いながらアカネは何かを操作し始めた。
ーーーーーーーーーーーーー
♦♦ 再集計中 ♦♦
ーーーーーーーーーーーーー
『おおっと! 何が起きたのでしょうか!? 突然、再集計になりました!』
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一位:チームめぐ 500点
二位:To The Top 300点
二位:不屈の戦士 300点
二位:武闘家倶楽部 300点
二位:てんてんと仲間たち 300点
ーーーーーーーーーーーーー
「「「ざわざわざわ」」」
『なんとーー! チームめぐ、優勝です!』
おじいさんたちは一瞬何が起こったのか分からなかったが、アカネが説明を始めた。
「あたし、To The Topのやつらフレンド切ったんだ。だから、あたしは自動的に失格になって点数は無効ってワケ」
『おおっと! 今、詳細が分かりました! To The Topのメンバーのアカネさんがフレンドを外したため、失格となりました!』
「「「おぉ~~」」」
『アカネさんの得点200点は失効となり、ミドルクラスは、めぐさんが繰り上げ3位で100点を獲得しました!』
「「「わーーーー!」」」
それを聞いためぐは、目に涙を浮かべてアカネに抱き着いた。
「アカネさーん!」
「ははは、くすぐったいよ!」
おじいさんは二人を見てウンウンと
イベントは終了し、ひろしとイリューシュはファンになった人たちに囲まれてしまったので、みんなでカフェに入ることにした。
カフェの店員さんはイリューシュたちを見ると、気を使って個室を用意してくれた。
「いやー、今日はホント面白かったなぁ!」
アカネがそう言うと、めぐがアカネに言った。
「アカネさん、3位もらっちゃって本当にごめんね。でも嬉しかった!」
「ははは、あたしは順位よりも喜んでもらえるほうが嬉しいよ! それに、さん付けはやめてくれよ」
「え? あ、うん、わかったアカネ!」
「おう、めぐ!」
「「はははははは」」
二人は笑いあった。
すると、アカネがイリューシュに
「イリューシュさん、あのハイキックとかって武闘家のスキルとかですよね?」
「いえ、わたし現実世界で空手やっていたので、フェイントで使っただけなんです」
「え、フェイント!?」
「ええ。あの魔術武闘家さんは予想外の攻撃に驚いただけなんです。あのキックは実は少ししかダメージを与えられないんですよ。ふふふ」
おじいさんたちは、いよいよイリューシュが何者なのか分からなくなってきた。
その時、おじいさんの視野の左下に何か文字が現れた。
『入賞バッジが進呈されました』
するとめぐも気が付いて喜んで言った。
「やった、入賞バッジもらった!」
そして手で何かを操作すると、めぐの胸には銀色のリボンが付いた銅色のバッジが現れた。
「おじいちゃんも右上の『アイテム』を押してみて。今日の入賞バッジもらってるはずだから!」
「あ、はい。これですね」
「そうしたら、NEWっていうところを押して」
「はい」
「入賞バッジって押してみて」
「これですね」
すると、おじいさんの胸にも銅色のリボンが付いた銅色のバッジが現れた。
おじいさんは少し恥ずかしそうに、しかし嬉しそうな顔をして頭を
しかしめぐは自分のバッヂをひと撫ですると、申し訳無さそうにアカネに言った。
「アカネ、本当はこのバッジはアカネの物だよね。ごめんね」
「え? 本当に全然気にしてないよ。あたし現実世界で沢山メダル持ってるしさ。ははは! めぐも、じぃちゃんも、バッジ似合ってるよ!」
「ほんと? ありがとうアカネ」
「ありがとうございます」
二人はお互いに顔を見合わせて喜んだ。
その時ふと、おじいさんはイリューシュがバッジを付けていない事に気づき、気になって尋ねてみた。
「イリューシュさんはバッジをお付けにならないのですか?」
「あ、はい……。付けてみたのですが……、ええと、こんな感じになってしまうので……」
イリューシュが胸にバッジを付けてみせると、紅白のリボンに大きな金のメダルの、変に目立つ優勝バッジが現れた。
「ちょっと、恥ずかしくて……」
すると、それを見ためぐが口を尖らせながら言った。
「もうっ、運営ってセンス無さすぎ!」
「「ははははは」」
みんなはイリューシュの派手なバッヂを見ながら笑い合った。
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ここまでお読み頂きまして、ありがとうございます。
諸事情ございまして、この作品はアルファポリス様へ移転させていただきました。
この続きはアルファポリス様でお読みいただけましたら幸いです。
よろしくお願い致します。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/442431477/903855348
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