鶴姫と千鶴

彼女は大学図書館で借りた古地図を見ていた。枕元にある時計を見る。AM2時48分。


「もうこんな時間かぁ。」彼女は頭が沸騰しそうになるのを感じた。頭痛がしそうだ。不思議な事を考えるのは楽しい反面気だるさもある。世の中には理屈では考えられない事もある。この夢の意味が何なのか、それを知りたい。古地図を見ると何か考えが浮かぶかもしれない。ベッドで横になりながらあれこれ考える。やがて疲れてうとうとと夢の世界へ・・・。




水晶玉の占い師が手まねきしている。彼女はきらきらと輝く美しい水晶玉を見る。そこには、黒い着物姿の男性が映っている。その出立ちから陰陽師だと言うことが彼女には分かった。枯葉が辺り一面に引き詰められていて、山深い場所のようだ。


祠の中で筆を取り何かを書にしたためている陰陽師の姿。津雲血、千鶴という文字がかろうじて見える。途中で白く濁ってはっきりとは映らないが、何か呪文を唱えているように見える。人が一人入れるくらいの小さな祠。その後ろには山桜の木。占い師が言う。


「大寿から西に三千歩。・・・鶴姫の生まれ変わり。ああ、濁ってこれ以上よく見えないねぇ」占い師は水晶の玉を撫でながらさらにじっと見つめる。鶴姫の生まれ変わりとは、あなたのことのようだ」

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