入れ替わった伝説

目が覚めると、彼女は夢の話しが気になって仕方がなかった。小学校の移動教室の時にもらった冊子の存在をふと思い出す。当時、その冊子の物語が大好きで何回も何回もぼろぼろになるまで読み返した記憶がある。

「確か、本棚にあったっけ」彼女は津雲藩の鶴姫と亀姫の伝説の冊子を部屋の本棚から取り出し手に取って見た。

「懐かしい〜。こんなになるまで読んだのね。大好きだったなぁ、このお話し」ぼろぼろの表紙をめくり、読み進めていくと、彼女の顔ははみるみる驚きの表情に変わっていった。小学生の時に読んだ伝説の内容とは明らかに違っている。こんな事ってあるのだろうかと彼女は目を疑った。


子供の頃に何度も読んだ冊子では昔、津雲藩第五代藩主津雲玄蕃守には2人の姫がいた。一の姫は鶴、二の姫は亀と言った。2人の母は正室北の方で2人ともとても仲の良い姉妹だった。しかし、十五の年に姉の鶴姫は流行病で亡くなってしまう。亀姫はとても悲しんだ。という物語だった。しかし、今見ている冊子は、鶴と亀の母は別人で、亀の母は側室となっている。しかも、亀の父は津雲藩家老田辺となっていて、鶴は病死ではなく暗殺されたという御家騒動の話になっている。明らかにおかしい。こんな話ではなかったはず。これは、祠に行ってみなければならないと彼女は思った。家老田辺と藩主の側室の子である亀に津雲藩の血筋が移ってしまっている。亀も確か正室の子だったはず。彼女は思った。歴史が変っている?と。

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