水晶の夢

中村胡蝶

教室




賑やかに響く子供達の声。ここは6年1組の教室、彼女たち6年生は明日から移動教室に行く。


「はい、注目!明日から移動教室が始まります。社会の授業で勉強した津雲城などを周ります。みんな、ちゃんと覚えていますか?しおり、ちゃんと読んでくるように。遅刻したら置いていきますから、そのつもりで遅刻しないように。今日はみんな早く寝なさいよ!」担任の先生が言う。

ちょっとした修学旅行、プチ修学旅行とでも言うのだろうか。



彼女は楽しみにしている。明日の荷物を一つ一つ大事そうにスポーツバックに入れる。しおりで確認しながらだ。母親が声を掛ける。

「千鶴、明日早いんだからいいかげんに寝なさいよ」

「はーい」まだぜんぜん眠く無いのにな・・・。彼女はそんな事を思っていた。

 

真っ暗な部屋の中で、彼女は興奮していた。なにせ初めての移動教室だ。友達との楽しいおしゃべり。どんな感じかな?枕投げとかしたりして?ワクワクするなぁ。お城も行くんだよね。でもちょっとだけど不安もある。お母さん居ないし。初めてだし。

でも、ちっとも眠くないなぁ。


ひつじを数え、目を瞑る。

「羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、ひつじがよ・ん・・・ひ・」眠りに落ちた。


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