超次元弾丸遊戯ガンスリンガー

ロリコンの人

        第1話

人間ってのは意外とあっさりと死ぬ、世界一の富豪でも、貧困にあえぐ者でも、高度な訓練を受けた軍人でも。


 親友いわく、人生とはロシアンルーレットと似ているらしい、特に俺達の人生はロシアンルーレットその物だ。お互いに銃口を向け殺し合う。


 今まで俺はこのゲームで負け無しだった。技術に運、用心深さ、生き残るために必要なスキルを磨き、常にベストを保ってきた。


 だが、運が関わるゲームはどんなにベストを尽くしても負ける時はある。


 ……どうやら、その時が来たようだ。


目の前には銃口。今から殺されるからだろう、本来1センチ程の大きさの物が途轍もなく大きく見える。


「✕✕✕✕✕✕✕‼✕✕✕✕✕!✕✕✕✕ッ!」


 小さな身体に不釣り合いなカラシニコフを構えた少年兵が俺に向かって唾を飛ばしながら何かを喋る。


 意味がわからない俺は嫌味を込めて中指を立てる。


 「クソッタレめ」


 中指の意味が伝わったのだろう。


 奴は激昂する。


 そして、引き金は引かれた。


 火事場のバカ力と言うヤツだろう、自分に向かう銃弾が非常にゆっくりに見える。それこそ、避けられそうな程に。


 だが、加速化された思考は理解してしまう。抗っても無駄であると、余命をほんの少し伸ばすだけの結果に終わることを。


 だから、諦める。


 沢山殺したんだ、覚悟は出来てる。そう、心の中で呟き目を閉じる。


 ……


 …………


 ………………















 

 (あれ?まだ生きてる?)


 いつまで経っても意識が続くことに違和感を覚える。


 あのとき撃たれたのは間違い無い。撃たれる瞬間も、放たれた弾丸もこの目でしっかりと見た。あの状況から助かったとも考えにくい。


 (なら、この状況は?)


 自分の置かれた状況の異様さに半ばパニックになりながら考えていると、負傷によって痛んでいた身体が痛まないのに上手く動かせない事。そして、口元に暖かく弾力を持った”何か”が触れていることに気付く。


 ―その”何か”はまるでぬくもりを持った人肌のようで……


 (ん?人肌?)


 そして俺は思い出す。同じ日本人の同僚が勧めてきた本の内容を。その本の導入部と今の状況が似ていることに。


 (あの本のジャンルは、確か異世界転生……。まさか…)


 もしこの予想が当っているならば、上手く動けない理由と口元に触れている物の説明がつく。


 触れている物は恐らく……


 (おっぱい)


 確かめる為に目を開ける。視界の大部分を覆い隠すの程の大きな胸。母性に溢れていて眼福。


 慣れない感覚に戸惑いながら腕を動かす。視界に入った腕は柔らかさに富んだ赤ちゃんの腕。予想が当たった、俺は若返って転生したらしい。


 「あ、苦しかった?###ごめんね」


 俺の口から胸が離され、授乳していた相手の顔が見える位置に頭が移動する。


 そうして見えた顔は、俺に対してどれだけ多くの愛情を注いでるか一目で分かるほど慈愛に満ちていた。


 金銭面については分からないが、家族愛には恵まれていそうだと、これからの事について考えていると段々と眠くなってくる。


 寝る子は育つ。その言葉を信じ俺は寝る事にした。

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