2-C 『便せんが裏紙となりくずかごへ紙飛行機にならないままで』
練習を終えて。
「駅まで行こっか」
歌奈が
「スタジオ、なかなかないからなあ。駅の辺りは先客がいること多いし」
「ちょっと遠いのが難点だよねえ。歌奈、一応年明けに利用できそうなとこ、ピックアップしとく」
「
「
「う、うん」
――二人きり。
意識してしまうと、
「あの、そういえば、なんだけど」
「うん?」
「年末年始で、作詞してくる」
電車が通りかかる。『すぐに
冬休みに入ってしばらく。作詞の作業は
「書きたいフレーズは出来てるのに、後が思いつかない……」
歌奈に聞くのは、何を書こうとしてるかバレたくない。
「どうしよう……」
その時。
「しーちゃん、入っていい?」
ノックの直後に聞こえた声。
「
「お
司が中学生になってからは、冬休みに
その人は、目立つ方ではなかったけれど、
「歌奈ちゃんから聞いたよ、私の代わりにバンドに入ったって」
――胸がざわざわする。もちろん、悪気はないはずだけど。
「『星の忘れ物』
「えっ、別に……いや、その。ちょっと思ってたから、
きっと、
――夢の中の忘れ物を あなたの中のキラキラを
――分けてほしいの
――大切だから
「しーちゃん?」
「あっ、うん」
ぼーっとしていた
「その作詞法だけど……しーちゃんの得意な『短歌』を生かそう」
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