頭の撫で方が優しいから安心した

 皆さんこんにちは!

 清楚系ヒロインことセラユキナです!


 …何?お前のどこが清楚だって?

 清楚だろ私。

 すごい上品だろ私!


「どうしたセラ分からないところでもあったか?」

「だ、大丈夫です」


 今私は生徒会室でササキ先輩と業務に追われています。

 今年の資料に不備がないか、次の生徒会で集まる時の議題となる資料をまとめています。


 他の方々は備品のチェックと委員会や研究会(部活みたいなもの)の活動状態や新入生の勧誘に不正が無いか確認に行っている。

 毎年催眠をしたりといった不正行為を行うので業務の1つとして行っているらしい。


 お金関係は先輩がそろばんを全速力で弾きながら紙に書いていく。

 私も負けじと資料の細かい文字に目を通していく。


「セラ休憩しても良いんだぞ?」

「大丈夫です。先輩が働いているのに休むのも申し訳ないですし」


 何か私だけ休んでササキ先輩が働いてるのは見ていて罪悪感が生まれるから休憩はしない。

 先輩が休んだら休憩しようと思う。

 頼まれた仕事が終わってるせいか暇である。

 とりあえずミス無いか確認しようかな。


「…俺は休憩しようと思うがお前もどうだ?」

「ぜひ!」


 良かったー。休憩できる!

 少しだけ寝ようかな。


「セラこれをやろう」


 先輩は私に向かって何かを投げつけてきた。


「わ!」


 私はそれをキャッチする。

 危ないだろ私じゃ無かったら落としてたぞ。


「これは?」

「疲れた時には甘い物が効く」


 先輩はがくれた物は飴だ。

 私はそれを口に放り込む。


「甘い…」


 ミルク味だ。

 疲れてるのかいつもなら甘い物が苦手で少し顔をしかめてしまうが嫌だと思わない。

 美味しいと思う。


「ありがとうございます。今度お礼準備します」


 といっても私はお菓子作りとかできないから今度外出して買ってこようかな?


「気にしないで良い」

「私がしないと気が済まないのでお願いします」


 借りは早めに返したい残しておくのは絶対にいやだ。


「お礼をもらったら俺もお返しを準備しよう」

「そしたらお礼の意味がなくなるじゃないですか」


 先輩は「冗談だ」と少しだけ笑って言う。

 この人はあんまり笑ったり怒ったりしないような人なのに気のせいだろうか表情が柔らかい気がする。


「?どうした俺の顔に何かついているか?」


 私は無意識に先輩をガン見していたらしい。

 顔には目と鼻と口ついでに眉もついてますよ大丈夫です!とでも言ってボケようか。


「何でもないです」


 無理でしたふざけたら絶対にスベる。ゴミを見るかのような目で見られるよ絶対に!


「見惚れていましたとでも言えば良いのに」

「ガラじゃないので言いませんよ。私が言ったら気持ち悪いセリフに早変わりですよ?」


 何て余裕そうに返しているが、私がそのセリフを言ったら恥ずかしさで2、3日は部屋から出ないと思う。


「そうとは限らんだろう?」

「じゃあ言いましょうか?…み、見惚れていましたデュフフ」


 すごいよね語尾に変な笑い声付けると台無しになるの。

 これはムード何て裸足で逃げるレベルである。


「……」

「ふぎゅ!」


 先輩は無言で私の顔を掴む。

 そのせいか少し視線が上げられ先輩を見上げる形になる。


「お前はふざけないと生きていかないのか」

「私の個性なので、できる限りなくしたくないでしゅ」


 先輩離して声出しづらい。

 ムニムニしないで、ちょっと楽しいって顔しないで!


「それが良いところでもあるから無くせと言うつもりはない」

「良かった…」


 先輩は私の顔から手を離す。


「底なしのポジティブ馬鹿だよお前は、これからもそのまま変わらず廃れず生徒会に貢献してくれ」


 褒めてるのかけなしているのか?

 どちらにしろ沸点0度の私には馬鹿という単語を聞いただけでキレるのだが。


「ちょっと褒めてるんですか?!馬鹿にしてるんですか?!」

「両方」

「褒めていただきありがとうございます!」


 褒めているらしいのでけなしているのは全力でスルーしてお礼を言う。

 相手は先輩で男、殴る蹴るのいつものやり方は無意味。


「セラ仕事の進度はどうだ?」

「先輩に言われた分は終わってます」

「そうか」


 先輩はソファに座る。

 そして私を手招きする。


「…何を企んで」

「疑い深い奴だな。何もしないよ」

「本当ですか…?」


 ササキ先輩の事だ何かやばい事を企んでいるに決まっている。

 私は警戒して先輩のいる向かいの席に座る。


「違う、隣に座れ」

「ええ…」


 ポンポンとソファを彼は叩く。

 面倒臭いが従わないともっと面倒なことになりそう。


「分かりましたよ。本当に何もしないでくださいよ」


 私は渋々先輩の隣に座る。


「そのままこっちに倒れてきて良いぞ」

「何で?」

「良いから…仕方ない強制的にやれば良いか」


 先輩は私の頭に手を乗せてそのまま自身に引き寄せる。

 そして柔らかい何かが私の頭を包み込む。


「何ですかこれ」

「俺なりにお前を労わってるつもりだが?」


 膝枕をされている。

 普通にお疲れさまとかで良いじゃん。

 何なら先輩さっきの飴で十分労わってるからこれ以上しなくて良いと思う。


「先輩撫でないでください眠たくなります」


 優しい手つきで頭を撫でてくるので気を抜くとうとうとしてしまう。


「良いぞ寝ても」

「そういう訳には…いかない、です。先輩仕事あるのに…」


 甘い誘惑が私の鼓膜を震わせるが必死に抵抗する。

 先輩は笑い声を漏らす。


「今日やろうと思った分は終わってるから良いんだ」

「でも、休憩入るまで、仕事してたじゃないですか」

「あれは明日やろうと思った分だ。どこかの誰かさんが先輩が仕事してるのに休むのはって言うから」

「…そう言うのは早めに言ってくださいよ」

「すまない。次からは善処しよう」


 その言葉言うやつは絶対またやるぞと思うものの私には言う体力すらない。

 一定のリズムで撫でられて睡眠欲が私の思考を埋め尽くす。


「先輩、起こしてくださいよ…」

「分かった。お休みセラ」


安心してゆっくりと私は目を閉じた。

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