【episode5 - 夕立の雨音】


「お風呂に入ろう。」



気怠けだるそうにしている私に彼が腕を差し出す。


フラフラする足を踏み締めながらバスルームのドアを開けると激しい夕立。待ち合わせをした時に晴れていた青空は見えなかった。




「雨すごいね。」



私たちが抱き合った部屋には通常のバスルームの他に露天風呂がある。


大きな湯船に浸かると屋根に伝い落ちる雨粒を眺めながらおしゃべりをした。




彼が一人暮らしなこと。


ゴルフを始めたこと。


ふっくらした女性が好きなこと。




はにかみながら話す彼と素肌が触れる。



雨音の中で流れる優しく幸せな時間に、私たちはいつまでも湯船から出ることが出来なかった。





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