イケメンと念願の再会
「おはよーっ」
わたしは普通にジャージに着替えようとするも同僚オタクちゃん達が完全に停止。
見てはいけないと思ったようでみんな不自然に後ろや下を向く。
「え、なになに?わたしそんなセクシぃー?」
「あ あの そ それ大谷さんのジャージ......デスクです」
あ、わたしの妄想じゃない?!わたしを認識できないのか?
すぐトイレで確認。
あっ美女だわ。朝見た.....。
変顔してみる――――鏡も一緒に変顔した。ん......。あれはリアル、リアルに?.....
夢遊病で昨日整形したか?いやあり得んっ 鼻に詰め物して整形級メイクした覚えも
ね―.....ないない....。
1日で整形しましたとか言えないしな......。
「あ もしもし保守の大谷 美姫です。はい。体調崩しまして はい しばらく 休業を はい すいません。」
はあ。職、失いそう.....。
どうする、わたし。
―――っ!!でも待てよ......もしやこれは......神からの恩恵?リベンジチャンス?
急に勢いづいたわたしは退職し、取引のある別のベンチャーの企画部に就職した。
わたしは、拓馬さんを見返してやる!って為だけにこんなことを。かなりヤバイ奴に成り下がったもんだ.....。
しかし、わたしを取り巻く新たな環境はわたしが知りうることのないような世界だった。
―――まず、重要なのは深夜0時になるとヒラメちゃんに戻る。
日の出とともに美女となる。これはこれまで100%そうだった。万が一日中にヒラメが出たら、その時はその時だ。
これを忘れちゃてぇーへんだから、深酒は致さぬように!と己に言い聞かせます。
+++
「おはようございます。大谷さん。今日企画会議 10時ですから。」
男前社員が、わたしに話す時に緊張してる.......不思議な世界。
「はい。分かりました」
そう、なかなか『あいよ!了承した!』とか言えない空気。
あれよあれよと言う間に、二人に食事に誘われた。しかし食事にすら行っていない。
拓馬さんに、接触するのが第一目標であーる。
しかし、美人の苦労なんて知らなかった。生まれてからずっとイージーピージー、イージーゴーイングだと.....。
会う人会う人には見られるわ、声はかかるわ、鼻ほじったら多分ニュースにされそうだし、屁なんてぜったいコイチャダメ!同性からは何も言わなくても嫌われる。
てぇーへんだなっ。美人ってのも。
人並みの楽しみが奪われる。ペットボトルのお茶飲むだけで見られるんだぜっ。
わたしは、幸い夜中にはヒラメちゃんになるから、高慢にならずに生きている。
どちらかというと、頑張ってお上品にするもボロが出て、社内では『ギャップ姫』と陰で呼ばれてるらしい。
やっぱり美人ってのは天性じゃないとサマにならないのか。
―――転職して1ヶ月
ついに拓馬さんがこの案件なら来るであろうアポが入った。
わたしは、上司の
佐田さんは男前。時代劇?現代時代劇に出てきそうな感じっ。キリッとした鋭い目に長身小顔。歳はわたしより2個か3個くらい上だろう。
とにかく、目があうとドキッとする。現代風ザムライだ!
でも、今日は拓馬さんを見返してやる。でも、どうやって?!あ ノープランでした。
懐かしの会社の営業部に来たわたしは取引先として会議室で待つ。
カチャッ―――拓馬さんだ、腹立つけどやっぱりイケメン......
「お世話になっております。久しぶりですね 佐田さん。お元気でした?」
わたしだって久しぶりだろ!と思いながらすまし顔で待つわたし。
「はい。こちらこそいつもお世話に。こっちは新しく入った当社企画部 大谷です。」
「大谷 美姫です。宜しくお願いします」
「オオタニさん?ミキさん?」
「はい。そうです。はじめまして」
名前におどろくも、フツ―すぎる態度
わたしには気づかないし、興味もなさげ......。
なんということですか!?なんということでしょう?
まさか まさか拓馬さんは――――――ブス専?!またはおっぱい聖人か........
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます