第34話 美央との朝

「...ふわ...ぅん...」

朝、私、白雪美央はベッドの上で目を覚ましました。

ふと、目の前を見ると、すやすや寝息を立てているみやび君に少し、戸惑ってしまいます。

みやび君はぐっすり寝ていて、このまま襲うことも可能ですが、流石に無理矢理する、というのはあまり気持ちがいいことではありません。

とりあえず写真を撮るだけにしておきましょう。

その後、私は顔を洗い、荷物をまとめました。

「ふぅ..」

やることがなくなった私は、少しソファーに座り、昨日のことを思い出します。

すると昨日のことが少しずつ思い出され、私は恥ずかしさに少し悶絶します。

「..はわわ..」

いくらみやび君と2人きりとはいえ、みやび君の前であんな姿を見せてしまい、私は今更ながら後悔してしまいます。

(まさか..みやび君の前でふ、服を..)

ですが、プラスに捉えると、みやび君を意識させることができた、と言えます。

なぜなら、みやび君の力であれば私を簡単に押しのけられたはずです。

でもそれをしなかった、と言うことは少なからず私を、受け入れてはくれているのでしょう。

「ふふ」

私は思わず口元を緩めてしまいます。

今の私はもしかしたら、はるかさんと並んだと言えるのかも知れません。

流石にはるかさんでも、みやび君にここまで迫ってはいないはずです。

前に海に行った時、少し様子を観察しましたが、寸前のところで出来なかったようです。

なので、おそらく今のみやび君は少なからず、私を意識してきているはずです...




「んん..みお?」

俺はベッドの上で目を覚ます。

見ると俺より先に目覚めていた美央が、こちらを見て

「おはようございますみやび君!」

美央は笑顔で挨拶をしてくる。

「ああ、おはよう..美央」

俺はまだ眠たい目を擦りながら、ベッドから降りる。

「ふふ、まだ寝ていて構いませんよ」

美央は笑いながら言う。

「いや、大丈夫だよ、荷物もまとめないといけないし」

「そうですか、手伝いましょうか?」

美央は気を遣ってそんな事を言ってくれる。

「いや、いいよ、自分でできるし」

「そうですか。では待ってますね」

「ああ」

俺は急いで荷物をまとめる。

「じゃあ帰るか」

と言って、俺たちはホテルのチェックアウトを済ます。


ガタンゴトン、ガタンゴトンと、俺たちは電車に揺られる。

俺は席に座りながら、昨日のことを思い出す。

昨日は誓って、美央とは何もしなかった。

だがを拒みきれなかった、というのも事実だ。

美央は女で、俺は男、なので美央のことは簡単に突き飛ばせたりはずだ。

しかし、なぜ俺はそれを出来なかったのか

美央に快感を覚えさせられたからか?

それとも、女ということで遠慮してしまったのか?

それとも他に理由があるのか?

俺は、まだ俺自身わかっていない感情に駆られ、少し困惑していた。


「ただいま」

俺と美央は今、家に着いたところだ。

「おかえりー」

遥は起きたばっかりなのか、まだ少し眠いようで、目を擦りながら出迎えてくれる。

「みやびぃ..寂しかったぁ..」

と言って、遥は俺に抱きついてくる。

さっきあくびをしたのか、目が少し涙で潤んでおりとても可愛い。

「ご、ごめんな、心配すんなっていったのに」

親に迷惑をかけたくなかった、とは言え、彼女がいるのに別の女の子とホテルに泊まってしまった。

という事実は変わらないので、俺は素直に謝る。

「反省したの?」

遥は、少し怒ったそぶりを見せながら、言ってくる。

「うん、したよ、本当に悪かった」

「うん、許すよ、そのかわり1つお願い聞いて?」

と、遥は提案してくる。

「お願い?」

俺にできる範囲なら勿論聞くつもりだ。

「うん!夏休み終わるまででいいから、一緒にバイトしてほしいの!」

「バイト?」

俺の家は経済的には困ってない為、仕送りも満足にある。

なのでバイトなどしなくてもいいはずだが

「うん!お願い、夏休み中だけのやつがあるからさぁ、ね?」

遥は俺を見上げるように、可愛くお願いしてくる。

「まぁ..いいけど..」


こうして、俺たちは夏休みだけのバイトをすることになったのであった。

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