第32.5話 雅との電話の後

「...うん、じゃあ..」

「うん...また明日ね」

そう言って私は雅との通話を切る。

「はぁぁ...」

雅が自分よりも美央を選んでしまった、という事実に遥はひどく落胆していた。

いくら親の契約が切られる、と言っても流石に、彼女を優先するべきではなかろうか。

「はぁ...みやびもホントはみおの事が好きなのかな...」

遥が誰もいない家で1人悲しんでいると

〜〜♪〜〜♪〜〜♪

誰かから電話が掛かってくる。

「だれ?」

遥はスマホを手に取り、相手を確認する。

そこには春菜と出ていた。

「おねぇ...ちゃん..?」

遥は電話に出てみる。

「おねぇちゃん?どうかしたの?」

『もしもし、はるかちゃん!今度4人で映画でも見に行かない?』

春菜は楽しそうに言ってくる。

4人とは雅、遥、春菜、美央の事を言っているのだろう。

春菜は海に行った時から、美央と仲良くなっているのだ。たまにメッセージでやり取りなどをしているらしい。

「おねぇちゃぁぁん!」

その提案を聞いて、雅と映画に行った時のことを思い出してしまい、遥は思わず、堪えていた感情が溢れてしまう。

『ど、どうかしたの⁉︎大丈夫⁉︎』

春菜は自分が、何か変な事を言ったのではないか、と焦る。

「おねぇ..ちゃぁん...グスン」

『なにがあったの?』

春菜に聞かれ、遥は美央と雅がホテルで今泊まっている、という事を話す。

『な、なにやってんのよ!みやびのやつ!』

春菜は怒りをあらわにする。

「おねぇちゃん...私..どうすればいいかな..」

遥は春菜に相談を持ちかける。

『どうするって?みやびと別れるの?』

「そ、そんなの絶対イヤ‼︎」

春菜の言うことに、遥は思わず叫んでしまった。

『じゃあどうするの?』

「わかんない...」

『わかんないって...あんたねぇ..』

「わかんないよ...どうすればみやびが私に夢中になってくれるかなんて..」

遥はまた泣きそうになってしまう。

『はるか、はっきり言わせてもらうけど、今のあなたじゃ、みおちゃんに勝てるかどうか、正直微妙なところよ』

と、春菜は冷静に言う。

「っ⁉︎そ、そんなこと..ないよ...」

遥は少し焦りながら否定する。

『いいえ、そんなことあるわ、今のみやびの意識は、明らかに私が最初にみおちゃんに会った時より強くなってる』

「そ、そん..なこと..」

遥が否定しようとすると

『はるか、大丈夫、私がなんとかしてあげるから』

春菜が優しい口調で言ってくる。

「ふぇ...?」

『大丈夫、私に任せて、絶対みやびがはるかちゃんに夢中になるようにするから』

「そ、そんなこと..できるの?」

遥はどうも信じれないようだ。

『うん、絶対するよ、私に任せて!』

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