第二次 感想会
気がつけば、わたしたちは汗だくになっていました。
最後のペンライト振り回しが利きましたね。息も乱れています。
最後、子ども向けによさげな映画の無料パンフレットをもらって、視察は完了しました。
「あの、お風呂を貸してください」
ウル王女が運営する、スパで汗を流したいです。
「もちろん。無料でご招待しますわ」
「ありがとうございます」
温泉をいただき、目の疲れを癒やしました。
気がつけば、二人とも会話すらなかったです。
お湯に浸かって、レストルームで一時間ほど眠っていましたよ。
知らぬ間に、疲れていたんですね。
立て続けに、映画を二本見ましたから。
おかげで、リフレッシュできました。
その足で、すぐ食事にします。
スパのレストランで、済ませることにしました。
もう動きたくありませんからね。
以前、手を出さなかった、ローストビーフをいただきましょう。
ローストビーフを白飯に乗せて、丼にします。
ああ、大正解でした。
間違いありません。
米と肉が、合わないわけがない。
肉巻きおにぎり感覚で、バクバクいけますよ。
酸味の効いたソースもアクセントになって、お肉の味を引き立てていました。
おかずは、ポテトフライとオニオンリングです。サクサクですよ! ケチャップがまたおいしくて最高ですね。
キッズ向けの映画を見た後なので、ジャンクが欲しい熱で埋め尽くされていました。
ようやく、その熱が解消されましたよ。
ウル王女は、天ぷら盛り合わせとミニうどんです。
とり天、エビ天、かぼちゃですか。かき揚げも大きくて、よさげですね。
どうしてあなたは、そうも食欲をそそるチョイスをなさるのか。
また来たくなっちゃいましたよ。
「思いの外、盛り上がってしまいましたね」
ウル王女の天ぷらカゴから、エビ天をひとつもらいます。
ああ、
なにもつけなくても、おいしいのがわかりました。
「ですわね。年甲斐もなく、童心に帰っていましたわ。
王女も、わたしのお皿からオニオンリングを取ります。
「てっきり甘々なだけかと思いましたが、ほろ苦展開もあって見事でした」
「おっしゃるとおりで。最後、映画限定ヒロインの父親が小説の作者で犯人であるわかったときは、涙が出そうになりました」
ああ、そうでしたか。
なんか「小説の中で人を殺しても、罪に問われないから」と、ああいった秘術に手を出したんでしたっけね。
で、自分を陥れた者たちを始末したと。
「塩キャラメル味のポップコーンに、あんな可能性があったとは」
手がベタつくのが難点でしたが、舐めた指まで塩が効いておいしいとか。
あれは、罪深さ倍増でしたね。咎人の発想は、底が知れません。
「映画のお話では、ありませんでしたの?」
ウル王女に呆れられました。
「ともあれクリスさん、ありがとうございました」
食後のお茶を飲みながら、ウル王女がわたしに頭を下げてきます。
「なにがです?」
「わたくしを、アニメ映画に誘ってくださったでしょ?」
まあ、そうですね。
あのまま放っておけば、彼女は映画を見なかったでしょう。
プライドが邪魔をして。
「わたしにそんな遠慮は、不要です。何を見たって構わないじゃないですか。わたしはポップコーンが食べられれば、何も問題はありません」
「あなたらしいですわね。だからわたくしは、あなたを誘ったのかも知れません」
「映画のお話などには、お付き合いできませんでしたよ?」
ポテトをワシワシとつまみながら、わたしは首を傾げました。
「だからいいのですわ。他の方だと真面目に盛り上がりすぎて、リラックスできなかったでしょう」
そんなもんですかねぇ。
「今日は楽しかったですわ。またお誘いします」
「こちらこそ、ありがとうございます。今度は、新しいフレーバーが出たときにお誘いください」
「まあ!」
わたしたちは、互いに笑い合いました。
いやあ、ポップコーンってほんとうに
(ポップコーン編 完)
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