ep12 文化祭!!
その後、紆余曲折あり、文化祭本番になった。オレは転校生なのに、現場指揮をしていた。
無事、1年4組と2年5組の合同模擬店、インドカレー屋「ナンですか?」は開かれた。
お客さんの反応も上々で、「えーなにこの匂いすごい美味しそう!!」「あそこでイケメンちゃんがカレーって言ってるよ」と言った感じだった。
女装した男子と、男装した女子がナンを配ったり、ラッシーにカレーなど模擬店のBGMもインドの民族音楽のCDを流していた。いや、インドの民族音楽のCD持ってるやつよくいたな!!ともお客さんから言われた。
「山下、休憩時間だぞー」
「空くん!! 休憩してよ」
アリイちゃんとオレの休憩時間が被った。
「蒼空先輩、一緒に周ります?」
「そうだなぁ、周るか」
アリイちゃんと周ることになった。しかし、ふと思うことがある。オレも人のこと言えないが、アリイちゃんは同学年に友達がいるのだろうか? こう、付き合っているわけでもなく、ただの先輩のオレとこうもベッタリだと心配になる。
隣のクラスでは、射的が行われていた。
「バン バン ショットへようこそ」
そう言って隣のクラスの模擬店の店番の人にモデルガンを渡された。中には、B B弾が入っている。いや、それで景品うった景品撃ったらもらえるもの傷つくよなぁ。と思ってモデルガンをマジマジとみていた。
「うーん」
「欲しいものあります?」
「塩飴」
「蒼空先輩、渋い!!」
塩飴……?と店番の生徒が首を傾げていた。そんな普段のオレとアリイちゃんの緩いやり取りがあった。
一応、各クラス回って、休憩は終わった。
それとほぼ同時に、模擬店終了の放送が流れた。
「どれくらい残ったー?」
「もう綺麗に鍋なったよ!! 途中でなくなりかけてたよ!!」
片付けをはじめた。オレは鍋を洗っていた。他のクラスメートも片付けしていたこともあり、結構早めに後片付けは終わった。時間は午後7時。夕闇がそろそろ空を支配する時間だ。
「文化祭終わったんだな」
「そうだよ! 空くん、本当にお疲れ様!!」
「転校せーいがいなかったら、多分、この模擬店の成功はなかった」
「三条バンザーイ!!」
なぜかオレは胴上げをされていた。ちらっとアリイちゃんが視界に入ったが。今までにみたことないくらい不機嫌だった。
「こんなのわたし望んでない。蒼空先輩はわたしのもの!!」
胴上げから下ろされたオレに聞こえるか聞こえないかのような小さな声でアリイちゃんが呟いていた。
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