ep2 すでに友達!?

「ね、ね、三条くんは文化祭何したい?ほら、今年は試験的に大規模なものにするらしいからさ!!」

「え? うーん、オレは去年とか例年というか大阪の文化祭がどんなものかわからないからなぁ」

「毎年はしょぼしょぼのしょぼだよー。ほんと、クラスで体育館の舞台で踊るだけ」

「そんな感じなんだ」


生徒の興味は、もはやオレという転校生よりも、目先の行事の文化祭らしい。それはそれで、嬉しいようなさみしいような気がする。なお、さっきの会話はオレと横の希咲さんだ。まだ、ホームルームの途中なのに、教師が誰もいないという不思議。


「あー間に合ってよかったー、二重の意味で。そうそう、今年は舞台発表は自由参加だから。7時限目のロングホームルームまでに、各自ネタ考えて、この目安箱にまでに入れておくように」


目安箱? あの江戸幕府8代将軍徳川トクガワ 吉宗ヨシムネが庶民の意見を聞くために設置した目安箱??


「転校せーい!! 目安箱が不思議みたいだね」

「わっ!! ビックリした。えーと……」

「もう、私の渾身のギャグをスルーしないでよー」

「もう、スイのギャグはわかりにくいんだよ。三条くん、今のはね、転校生に「転校しろー!!」っていうよくわからないボケだよ」

「ボケを解説しないでよ、姫巫ヒミちゃん。私は船原フナバラ スイだよ」

「よろしくお願いします。船原さん」


予鈴が鳴り、1時限目数学の教師が来た。その教師の顔は、いかにも沖縄出身です!! と主張している濃い顔をしていた。そんなことを考えていると、横から希咲さんが「この先生は顔と話し方のギャップが面白いよ」と教えてくれた。そう、数学の教師は、「せやから〜〜この問題は、剰余の定理を使うねん。こらー、船原、授業中に居眠りすな!!」と沖縄の方言出るかと思ったら、関東から来たオレでもわかるほど、典型的な関西弁を話していて、そのギャップに笑いを堪えるのに必死だった。数学の授業が無事終わってくれた。


「なぁ、希咲さん、ここの先生ってこんなにみんなキャラ濃いの?」

「いや、数学のあの先生とあとはー、togetherでも有名な国語の白衣の先生くらいじゃない?」

「え、ここ、togetherの公式あるの?」

「いや、ウチもこの間知ったけど、非公認botがあるんよ」

「へぇー」

「もしかして、三条くんもtogetherやってるの?」

「まぁ、毎朝、おはようと寝る前に寝る!!って宣言してるくらいしか動いてないけど、やってることにはやってるな」

「マジ!? フォローしたいからアカウント教えて!!」

「ん、空さん」

「え、ちょっと、ちょっと!!」

「どうかした?」

「ウチ、もうフォロワーだし、なんなら、この前DMしたよー。なーんだ、もう友達じゃん、ウチら」

「え? 希咲さんの垢どれ?」

「これ、ヒミコ!!」

「え!! あの、ヒミコさん!! めっちゃファンです!! 握手してください」

「これも何かの縁だね、空さん」

「なんかネットの名前でリアルで呼ばれるのくすぐったいな」



何を隠そう、この希咲さんは、オレが転校する前に、「宿題かーダルっ!!」にリプライをくれたあの「ヒミコ」さんだった。




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