最恐伝説
夏希ヒョウ
第1話【プロローグ・ダークマターと赤い鳥居】
宇宙を支配しているのは、ダークマターという暗黒物質である。正体は不明で、見えない大量の物質が宇宙に存在し、それが星や銀河に多大な影響を与えているといわれている。
その領域は宇宙全体の九十%以上に及ぶと想定される。この未知なる物質を否定する物理学者もいるが、ダークマターを存在するものとして仮定しないと、質量など宇宙科学における数字のつじつまが合わなくなってしまう。
このことは、人間界にも当てはまるのではないか。
魂や霊は目に見えない。しかし、この世に何かしらの影響を与えているとすれば、どう解釈すればいいのか。少なくとも現代科学では説明ができない。
実際それが不可解な現象として、得体の知れない恐ろしさを生み出すことがある。
その一例を紹介しよう。
羽田空港の脇に、赤い大きな鳥居がある。
滑走路を延長したり新設したりするたびに、それが邪魔で取り壊そうとし
た。すると工事担当者が次々と変死したり、事故が起きたり、突風が吹いたりして不測の事態が相次いだ。その都度これは何かの崇りではないのか? と、結局は空港の片隅に移転するにとどまった。
近代的な建物と並ぶ昭和四年に建てられた鳥居は、異様な景色を生み出している。
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