仮題
駅構内の狂っぽー
モノローグ
現代において人々は多くの決断を迫られる。整頓されたコンビニのおにぎりの列の中からいくつか、または一つだけを選びださねばならないし、かかる運賃や乗り換え回数を考慮しながら数多くのルートから一つ、自分が乗る路線を選ばねばならない。これらは僕たちが生きていくうえで無意識に選択していることだし、周りの選択によって僕らが本来とりたかった選択肢を邪魔されることもある。人身事故でいつもの電車が遅延していたり、前の客がとったツナマヨが棚にある最後の一個だったり。こういうことは多々あるが、その多くは僕らを一時的に不愉快にさせることはあっても、僕たちの人生に長い間、影を落とすということはほとんどない。しかし裏を返せば、たまに日常の些細な選択が僕たちの人生に大きく影響する、ということが全くあり得ない話ではないのだ。
僕の話を少しだけするのならば、朝に目玉焼きを食べるとか食べないとかで三度死にかけたことがある。そうして負った傷は不幸中の幸いか、僕の体には大きな傷跡が三つ残るだけで後遺症は無かった。唯一それ以前と変わったことと言えば、僕は執拗に人前で服を脱ぐことを嫌がるようになった。三度の臨死体験を経て。
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