あの日の君の影が

くうき

あの日の君の影が

静かに泣いた音楽が

何処か遠いところで鳴り響いた

明日が醜く感じて

今日に絶望して

鮮烈に輝いた君の姿は

もうここには無かったんだ

明日の空を考えて

文字に起こして書いたんだ

笑ってほしくて

感想が欲しくて

肯定してほしくて

書いたんだ

それでも無力で非力だった

君には届かなかった


死んでしまったこの体が

痛みすらも感じずに

雨におぼれたんだ

甘かったあのお菓子も

一緒に作った料理すらも

全部全部ゴミに見えてしまったよ

瞼に映ったあの情景も

気づけば

忘れ去られてしまったよ

死んだあの日から

僕は気づけば

過去に取り残されていた


命はありますか

幸福はありますか

君はいますか

どんなに叫んでもどんなに泣いても

返ってくることはない

答えのない手紙に

涙して

別れ別れと呟いて

気づけば何処か空虚に浸っていた


夢すら語れなくなった

ボロボロになっていたんだ

あの世界は傍観したんだ

物語は停滞して

知らない人が増えていって

気づけば僕の存在すら忘れられていて

亡くなった感情も亡くなった君も忘れられて

何も残らなくなって

明日が消えて

今日と言う概念まで無くなって

夢が崩れて

声がかすれて

暴力に身を任せて

全部を

全部を

無力化したくて

影を追いかけて

あの日が遠くに行ってしまった

君が

僕が

貴方が

救われるには

何がいるのかな?

世界は静かに本を閉じた

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あの日の君の影が くうき @koooodai

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