第6話
「すいません、助手席しかドアが開かなくて、最初私乗りますから、次お願いします。」私は、運転席の扉が開かない赤いアルトであやかさんを六丁の目のルネッサンスまで送迎だ。
時間までは、余裕だが六丁の目までの混雑状況で随分時間がかかる場合もある。
あやかさんは、送迎の時は話さないことが多い。うちの店のNo.1だ。
私が送迎をしているのは、もちろん人気がないのと、送迎をさせてもらうと一回1000円貰えるから、ママの好意でそうしてもらっている。皆さんとっても優しくて、私はいつも一人では生きてないんだなって感じる。
あやかさんは、あの頃で、もうSNSとかブログをやっていてまだ、携帯もガラケーだったのに、凄い人だなって、尊敬してた。
そして、綺麗で私の憧れの人だ!
No.1でも、全然お高くなく。どんなお客様でも、対応出来て、多分ママには内緒だと思うけど、お客さんがパチンコで負けた時なんかは、次でいいよって、お金をツケにしてきたり(もちろん、お店には自分が立て替える)、ガスも、水も、電気もない所にもいくって言ってたのを、石巻から来てたはるちゃんに話してたのが聞こえてきた。そこでは、かめに水が汲んであって、それで洗ったりするみたい、私も、この間、布団が汚い人だから、バスタオル多めに持って行って、敷いてねって、言われて。お客さんの所に行ったっけなと思った。
まだまだ、序の口だなとその時思った。それに、私もそんな長くこの風俗の道を歩むなんて考えてもいなかったから。
「あやかさーん、着きましたよ。」
「ありがとう。」
あやかさんは、500円玉を真ん中のダッシュボードにコトンと置いて、颯爽と出て行った。
「すいません、ありがとうございます。」
余裕があるお姉様方は、ドライバーにタバコ代として必ずと言っていいほど五百円を置いて行ってくれる。
今じゃ、自分の稼ぎだけでギラギラしてる若い子達が大勢いるが、それはそれで時代の流れだろうな。
でも、あまりにも風俗という仕事に対して、仕事という試みがなってない様な感じがする。
風俗嬢を自分の彼女の様にその時間を過ごしたいと思うお客様に、その時間を楽しんでもらえるよう、努力するのが仕事だと思う。
これが嫌だ、あれが嫌だ。
それで、沢山のお客様に付けないのは、お店のせいだと言われたらどうなのか?
自分でも、接客の努力、外見の努力、向上心は毎日もって当たり前。
1日一本行けたら帰るじゃ、お店の宣伝費にもなってないだろって思われてるかも。
自分の怠けなら、自分で立ちんぼでもしなさい。お店に入ってるなら、せめて一本なら毎日出なさい。それが出来ないなら、写メ日記を沢山更新しなさいとそう言いたい!
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