生き辛い社会で生きる
シヨゥ
第1話
僕は人が苦手だ。
被害妄想も甚だしい話だが、まるで監視されているようなそんな気分になる。
だから社会は生き辛い。
社会の中での僕の一挙手一投足が波紋を生みだしているように、周囲360度全てで無数の波紋が生まれている。それに僕は酔い易いのだ。
そんな中で5日も働くと気が狂いそうなほど気分が悪くなる。
今日もまたそんな5日間を乗り越えてフラフラになりながら帰宅した。
部屋はいい。自分しか居ない空間はほんとうの意味で静かだ。
だがその静けさは薬にもなるし、毒にもなる。あまりの静けさに自分が生み出す波紋に酔い始めるのだ。
だから僕は人の居ない早朝に散歩に出るのだ。
未明と呼べる時間。僕は部屋を後にする。
人通りなんてあるわけがなく、居るとしたら鳥や猫ぐらいなものだ。小動物が生み出す波紋は微々たるもので、波紋なんてないと言っても過言ではない。
そんな眠る街を僕は散歩する。順路は始めたときに決めたものだ。大通りを避けて小道を行き、お堂に祠、お寺、神社を順繰り巡って徳を積み、街が起き出す時間に開店するパン屋に立ち寄って朝食を購入し帰宅する。
欠かすと罰当たりなチェックポイントと朝ごはんという明確なご褒美があるゴール設定したことで僕の体は週末でも自然に起きるようになっていた。
そんな順路を今日もめぐる。生き辛い社会で生きるために1歩1歩前へ前へと進んでいくのだ。
生き辛い社会で生きる シヨゥ @Shiyoxu
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