第11話 迷惑

 私は今、森で出会ったモンスターハンターと共に歩いている。

 しかし、この女本当にモンスターハンターなのだろうか? 私にはオートカウンターがあるから、いつ奇襲されても対処できる。

 しかし、この女にはそれがない。私のように常に警戒しておかなければ、この森のモンスター共に食べられてしまう。

 この女はそれを理解しているのだろうか?

 いや、理解どころか考えもしていないだろう。

 なぜなら、さっきからずっとニヤニヤしているからだ。

 正直やめてほしいが、この女と一緒にいればモンスター共を一人で片付ける必要がなくなる。

 それどころかこの女に全て押し付けてしまえば、私は自由になれる。

 それが実現すれば、私はそのすきに魔法使い探しの続きができる。

 なあに人なんていくらでもいる。いざとなったら、さっさと見捨ててしまえば楽になれる。

 あー、早く自由になりたい。


「ねえねえ、あなた名前はなんていうの?」


「は? 名前? そんなものはない」


 キメラに名前があると思うか?


「あー、ごめんね。気になっちゃって。私はクレア。この森の近くに住んでるモンスターハンターだよ」


「そうか。一応、言っておくが乱獲するなよ。モンスターにも家族がいるからな」


「家族……か。そう、だね。家族を殺されたら誰だって怒るもんね」


 この女、もしや家族を皆殺しにされているのか?

 まあ、モンスターはそこらにうじゃうじゃいるからな。

 いつ襲われてもおかしくない。


「まあ、そういうことだ。だが、妖精は別だ」


「え? どうして?」


「やつらさえいなければ、私が見捨てられることなどなかったからだ。憎い……やつらが憎い。この手で全員始末してやる」


「あ、あははは。君、結構かわいい顔してるのにまあまあ怖いこと言うね。まあ私も昔、似たようなこと考えてたからやめろとは言わないよ。でも、そんなことしても悲しくなるだけだよ」


 悲しくなる? 分からないな。私には分からない。それはお前の考えだろう? 勝手に私に押し付けるな。迷惑だ。

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