隙あらば自分語り

あじさい

自主企画「10の質問:答えにくいけど聞いてみたいこと」回答

 どうも、あじさいです。


 今回は、自分で設定した10の質問に、自分で答えてみました。

 自主企画のお題目通り、「(自分が聞かれても)答えにくいけど(人には)聞いてみたいこと」が並んでおり、質問によってはずいぶん長々とコメントしてしまいましたが、一種の自己満足なので大目に見ていただければと思います。

 自主企画に関心をお持ちの方はこちらからどうぞ。


自主企画「10の質問:答えにくいけど聞いてみたいこと」

参加受付:2021年8月20日まで

https://kakuyomu.jp/user_events/16816700426242866215



Q.1:あなたのペンネームは何ですか? よろしければ、そのペンネームにした理由も教えてください。


A.:あじさいです。

 理由は主に以下の3つです。

 ひとつは、苗字+名前ではないペンネームにすることで、いつまで経っても苗字にさん付けで呼ばれ続ける事態を避けたかったからです。

 もうひとつは、「あ」から始まるペンネームにすることで、五十音順に並べられたときに最初あるいはそれに近い位置に食い込みたかったからです。

 最後のひとつは、花々の中ではアジサイが好きだからです。雨に打たれても散らない、往生際の悪いところが良いですね。


Q.2:カクヨム以外にも利用している小説投稿サイトがあれば、そちらに掲載している作品の宣伝をどうぞ。よろしければ、それぞれのサイトの長所・短所も教えてください。


A.:小説家になろう、Pixivでも小説を投稿していますが、それらの投稿作品は全てカクヨムに投稿していますし、カクヨムではそれらに載せていない作品も投稿しているので、改めて宣伝するものは特にありません。

 小説家になろうを使う際に僕が感じる最大の長所は、誤字報告機能があることだと思います。作品をフォローしても書き手さんにこちらの名前が届かないのはもしかすると短所かもしれませんが、気軽にフォローできるという意味ではそうとも言い切れません。

 Pixivはおそらくイラストの投稿がメインのサイトなのでしょう。小説を投稿するには少し不便な印象で、僕は短編小説1作しか投稿していません。


Q.3:あなたが物語性のある創作物(小説・戯曲・漫画・アニメなど)を読んだり見たりするとき、それらのジャンルに何か傾向があるなら教えてください。突出して好きな作品があれば、そのタイトルも教えてください。


A.:昔は紙の本で夏目漱石さんや柳美里さん、小川洋子さんなどの小説を読んでいたのですが、大学を出てからというもの読書の傾向が変わっており、最近はWeb小説とマンガが多いです。

 僕自身が異世界ファンタジーを書いているということもあって、読むジャンルも異世界ファンタジーが増えています。最近はYouTubeでなろう系作品のレビュー動画を見て興味が出たマンガを買っています。

 突出して好きな作品は、自分でこの質問を設定しておいて言うことでもありませんが、何とも言い難いですね。文句や批判の余地を全く感じない作品には久しく出合っていない気がします。プロの手によるマンガは完成度が高く日本語にも引っかかりを覚えずに済みますが、率直に言って、「突出して好き」と言えるほど長期間にわたって新刊を買い続けるような作品には心当たりがありません。

 過去に何度か読み返した小説は、『シャーロック・ホームズ』シリーズ、『ハリー・ポッター』シリーズ、松村栄子さんの『僕はかぐや姫』(中編小説)といったところになるでしょうか。ただ、没頭した小説として印象深いのは藤本ひとみさんの『ハプスブルクの宝剣』と小川洋子さんの『博士の愛した数式』です。

 ライトノベルで好きなのは『涼宮ハルヒの憂鬱』です。『消失』よりも『憂鬱』の方が好きです。タイトルでもある「涼宮ハルヒの憂鬱」と、それについて彼女と主人公がたどりついた結論は、ネットではあまり話題になっていない気がしますが、もっと注目されるだけの価値があるものだと思います。

 アニメーション全般だとジブリ作品、特に『となりのトトロ』、『風立ちぬ』、『思い出のマーニー』なども好きなのですが、深夜アニメの中では『失われた未来を求めて』が突出して好きです。物語の構造が難しいので初見では理解できないかもしれませんが、二度目以降は名作と言って良いだけの味わいを感じられるはずです。円盤だと全話にオーディオコメンタリーが付いているのもポイントが高いです。


Q.4:あなたが物語を読んだり見たりするのは主にどんなときですか?


A.:諸事情があって不規則な生活を送っているのですが、精神的な脱力感やイライラが収まったときにはなるべく小説を読もうと心がけています。マンガについては、ネットで注文してそれを受け取り次第、ほぼ時間を問わず、ほぼ間髪入れずに読んでいます。


Q.5:特定の物語と結びついているあなた個人の思い出があれば、印象深いものを教えてください。


A.:初めて『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』を読んだとき、BGMとしてカーペンターズのベスト盤を聞いていたので、今でも片方に触れるともう片方を思い出します。それから、自分でも不思議なのですが、三崎亜紀さんの『となり町戦争』を高校から帰宅するバスの中で読んだことが、なぜか記憶に刻まれています。

 アニメだと、『涼宮ハルヒの憂鬱』を見ると大学の学生宿舎にいた頃を、『賢者の孫』を見ると精神的に病み始めていた頃を思い出します。


Q.6:昨今、Web小説界隈では異世界転生・チート・ハーレム・追放(ざまぁ)・悪役令嬢・婚約破棄・長文タイトルなどが流行していますが、あなたはこれらの流行・トレンドについてどう思いますか?


A.:流行や他人の好き嫌いは自分にとって大きな問題ではない、と言えれば良いのですが、出版社やアニメ制作会社がその限りある資源(人員、労力、時間、予算など)を流行り物に割いていることを考えると、無関心ではいられません。Web小説のトレンドは日本の文化・芸能にとって無視できない問題になりつつあると思いますし、仮に流行り物のWeb小説に稚拙なものが少なくないなら、それは日本の文化・芸能にとって大きな負担になりうると思います。

 もちろん、一口に「流行り物のWeb小説」といっても要素によって性質が異なっています。話が長くなって恐縮ですが、流行り物全般についてコメントする前に、個々の要素の話をさせていただきます。

 異世界転生とチートについては、批判されている対象はそれら自体ではなく、それらの要素と結びついてイメージされている設定の甘さ、キャラクターの不自然な言動、場当たり的な物語展開などだと思います。その意味で、異世界転生とチートがそれ自体として悪者だとは言い切れないでしょう。

 ただ、こう言うと嫌な顔をする人もいるかもしれませんが、異世界転生とチートは、「個性を大切に」をスローガンにして教育制度を改革した世代(必ずしも、いわゆる「ゆとり世代」と一致するとは限りませんが)が好きそうだな、とは思います。異世界転生・転移は要するに「個性」のリセットであり、チート能力を貰って無双するという筋書きは「圧倒的に優秀な個性」への願望の表出であることは間違いありません。チート系作品で努力がほとんど描かれないのも、努力よりも持って生まれた「個性」の方が決定的な意味を持つというゆとり教育的な思想があるからだと、僕は見ています。仮にそうだとすると、異世界転生・チート系が作品を通して「現実に自分が持って生まれた個性の中で何ができるのか」、「そもそも『持って生まれた個性』などという運命論に縛られる必要はあるのか」といった話をせず、「自分にもっと優秀な個性があればいいのに」という願望を強調して別世界に夢を託している限りにおいて、現実逃避的だとの批判は避けられないと思います。もちろん、現実逃避的だから悪いとは言い切れないのですが、僕個人としては、多少なりとも、困難に打ち勝つ考え方を身につけるとか、人間や社会について考えを深めるといった側面がないことには、小説を書いたり読んだりする意味がないんじゃないかな、という気がしてなりません。「結局これは何の話なの?」ということです。

 ハーレム系は下手をすると、ヒロイン候補たちが主人公を賛美するだけの存在になり下がるような筋書きになり、その度合いが過ぎると女性差別的になると思います。とはいえ、実際には、巧みにそれを回避している作品も多いように見受けられます。たとえば、『新世紀ヱヴァンゲリヲン』には魅力的な女性が数多く登場しますが、主人公のシンジくんに恋愛感情を向けている人はごくわずかです。『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズの場合、女性たちは主人公のキョンくんを好いていますが、小説の描写を見る限り、キョンくんが恋愛的なときめきを感じている女性は朝比奈さんだけなので、彼が他の女性たちと距離を保っていることには説得力があります。『僕は友達が少ない』は優柔不断な男の子が主人公ですが、アニメ2期までの彼は単なる難聴系ではなく意図してヒロイン候補たちのアプローチを受け流していますし、そのことはアニメ2期の終盤できちんと問題視されます。『生徒会の一存』の主人公は第1巻からハーレムを目指すと公言するライトノベル的なキャラクターですが、ヒロイン候補たちからはほとんど相手にされません。このように、女性が主人公を賛美するだけの存在にならないのであれば、作品にヒロイン候補が複数登場しても問題ないというのが、僕の考えです。ちなみに、「Web小説におけるハーレム系はそもそも、某ゲームでヒロイン候補たちが正ヒロインになれなかった場合に迎える悲劇的な結末を、二次創作の世界でだけでも回避させてあげようという『誠意』、『思いやり』に端を発しているんだ」と言う人もいますが、僕に言わせれば、ヒロイン候補が主人公以外に信頼関係を結ぶ異性を知らないという筋書きの時点で、「男を知らない無垢な女の子を恋人にしたい」という男性の一方的で女性蔑視的な願望が反映されているんじゃないかな、と思います。

 追放系はともかく、ざまぁ系は、異世界転生・チート・ハーレムより一段階、精神的に次元が低いと思っています。主人公が元々居た場所から追放される、というだけならまだよいのですが、追放した人々がひどい目に遭ったことが読者に知らされて「ざまぁみろ」という気分にさせることを売りにしている小説があるとすれば、精神的に偏狭で幼稚だと言わざるを得ません。端的に言って、人間としての器が小さく、物語として低レベルです。これが一部のファンに支持されているというならこんな流行は早く終わってほしいと思いますし、出版社は小説投稿サイトのランキングで上位だからと言ってこんな下劣な作品群を軽々しく出版しないでほしいと思います。

 悪役令嬢と婚約破棄については、僕がそれらの作品をほとんど知らないので何とも言えません。

 長いタイトルについては、小説投稿サイトで読者を得るための工夫でしょうから、やりたい人は勝手にやればよいと思います。ただ、『魔法科高校の劣等生』や『賢者の孫』など、タイトルが長くなくても有名になっているWeb小説はある訳なので、最終的に鍵になるのはやはり内容なんじゃないかという気がします。

 以上のことに加えて、Web小説の流行り物全般について共通して言いたいことが2つあります。

 ひとつは、「難しいことを考えてはいけない」だの「頭を空っぽにして読む分には面白い」だのといったコメントを褒め言葉だと受け取らないでほしいということです。私見ですが、文化・芸術に関わる他の分野においては、細部に注意を払って作られた作品が増えていると思います。近年はTwitterマンガにしても、ぼんやり見ているだけでは気付かない細部にキャラクターの性格や気遣いが描写されているものです。にもかかわらず、Web小説系の作品だけは読者に対して意識して深読みを止めることを要求しているのだとすれば、それは自らの怠慢と技量不足について開き直った、恥ずかしい態度だと思います。

 もうひとつ言いたいのは、僕個人の主観の話ではあるのですが、物語のテーマやゴールをなるべく早い段階で示唆してくれるのでないと、物語がだらだらと引き延ばされている印象になり、付き合っていられなくなるということです。「行って帰ってくる」物語であれば話のゴールや区切りが分かりやすいのですが、異世界転生ものなら異世界に行きっぱなし、追放ものなら追放されっぱなしなので、読んでいてその物語がどこまで続くのか分からないものが多くなっています。きちんと物語としてのゴールを匂わせた上で、物語がそのゴールに向かって歩みを進めているということを明示する努力をしていただけると、読者にとって読みやすい作品になるんではないかと思います。


Q.7:Web小説における性描写・エロ要素・下ネタについて、あなたはどう思いますか?


A.:物語として性的な描写が必要になる場面はあると思います。ダニエル・キイスさんの『アルジャーノンに花束を』や柳美里さんの『ゴールドラッシュ』など、性的な描写を抜きにすると凄みが失われる作品は確実に存在します。ただ、小説投稿サイトのランキング上位になるものを見ていると、筋書きやテーマで勝負できるだけのものを整えられていないからエロで読者を集めようという下心が透けて見えるような気がします。というか、そうでないとわざわざタイトルに直接的な言葉を書くようなことはしないんじゃないかな、と。

 これも早く滅びてほしい文化ですが、まあ、無理でしょうね。


Q.8:Web小説に限らず、小説を書いたことのある方に質問です。一般的に言って、誰が書いたどんな小説にも長所と短所があるものですが(そして読者のその時々のテンションや先入観によっても作品の評価は変わるものですが)、あなたは自分が書く小説が批判されたり、矛盾や改善点を指摘されたり、作品全体のテーマやメッセージに反論を書かれたりすることをどう思いますか?


A.:僕が最も力を入れているのは未完の長編ファンタジーなので、ここではそれを念頭に置いて話をします。

 自分の作品が「完璧」や「最高」からほど遠いことは分かっていますが、率直なところを言えば、誰が見ても明らかなミスというような不備や改善点は潰した上で作品を公開しているつもりなので、仮に指摘されたら悔しいと思うでしょうね。

 とはいえ、誤字脱字や日本語の不備については、僕自身が嬉しいとか苛立つとかの問題はさほど重要ではなく、指摘すべきことがあるならそうしてもらいたいと思っています。そもそも、僕が小説投稿サイトに自作の小説を載せているのは、自作の小説をより良い作品(僕自身がより深く納得できる作品)に仕上げるためです。作品の完成度を高めることに比べれば、僕個人の感情なんか些細な問題だと思っています。

 作品全体のテーマやメッセージについては、作品が完成したら意見を寄せていただいても構わないと思う一方、そう軽々しく反論を書いてほしくないとも思っています。というのも、本作には複数のテーマがあるのですが、割と初期から扱われるテーマに女性差別があるからです(もちろん本作は女性差別を是としない立場です)。この手の話題をめぐって、ネット上では様々な言説が飛び交っていますが、はっきり言って、その中には国語力・教養・一般常識の全てを欠いた人による「ヘイトスピーチ」、「クソリプ」の類もあります。そういう人はどうせろくに読みもせず、理解もできないまま、謎の上から目線で悪口を言ってくるだけなのでしょうから、できればお近づきになりたくないというのが正直なところです。


Q.9:Web小説について、あなたが最も大切だと思うこと、あるいは大切にしたいことは何ですか?

※例:つらい現実を忘れさせてくれる爽快感、ヒリヒリするような臨場感、読者の予想を上回る意外な展開、魅力的なキャラクターとその人間模様、哲学的あるいは社会的なテーマ・教訓・メッセージ、困難・苦悩を明るく乗り越えるユーモア、など。


A.:ふわっとした話になるのをお許しいただけるなら、「人間に対する眼差し」だと思います。

 Web小説に限らず、そして書き手自身の意図にかかわらず、創作物には書き手や制作者の眼差しがにじみ出るものです。それはたとえば、「人間(あるいは社会)ってこういうものだよね」、「こういう人物って魅力的だよね」、「こういう振る舞いは良くないよね」といった事柄についての考え方です。価値観・人生観・世界観などとも言いうるこういった眼差しが、あまりにも浅はかだったり、あまりにも偏見に満ちていたり、あまりにも筋が通っていなかったりする場合、その作品は面白くないと評価されることになるでしょう。

 蛇足かもしれませんが、ご都合主義と批判される小説はこの点に問題があるものと考えられます。ご都合主義な作品の特徴は、作者の都合や欲望で物語世界の道理やキャラクターの人間性が歪められていること、そしてその歪みに作者自身が無自覚であることです。これは書き手の「人間に対する眼差し」が未熟であることに起因します。たまに「小説は作者による作り話なんだから全部ご都合主義だ」などということを訳知り顔で言っている人がいますが、それはあまりにも乱暴な考え方だと思います。


Q.10:Web小説に限らず、小説を書いたことのある方、あるいは書くことを考えている方に質問です。あなたは自分が書いた、あるいはこれから書く物語を、どのような人に届けたいですか?


A.:おこがましいかもしれませんが、ご自身の過去と現在に批判的な目を向ける人に届けても恥ずかしくない小説を書ければと思っています。




 以上です。

 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。


 繰り返しになりますが、自主企画に関心をお持ちの方はこちらからどうぞ。


自主企画「10の質問:答えにくいけど聞いてみたいこと」

参加受付:2021年8月20日まで

https://kakuyomu.jp/user_events/16816700426242866215

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